骨延長治癒過程に置ける機械的刺激の影響を解析する目的で ①骨延長群 (gradual distraction群):延長速度(0.2mm/12h x 10 days; total 4.0 mm) ②急速拡大群(critical defect群):骨切り後、創外固定装置で4mmの欠損を作製、固定 ③中間群(sub-critical defect群):骨切り後、創外固定装置で2mmの欠損を作製、固定 以上の3群の動物実験モデルを作成し組織学的評価を行った。骨延長群では仮骨が延長されている所見認められ、硬化期間終了時には十分な骨の形成を認め、骨切り断端が仮骨によって結ばれていた。一方、急速拡大群では骨切りの断端部にわずかに骨の形成が認められるものの、欠損部の骨形成は認めなかった。欠損部は軟組織で満たされていた。中間群では骨切り部の断端から骨形成が認められ、一部、骨による橋渡しができていたが、細く、十分な骨形成は起こらなかった。レントゲン的評価を行ったところ、組織学的検討とほぼ同様の結果を認めた。すなわち、骨延長群、中間群、急速拡大群の順に、骨延長間隙、骨欠損部にレントゲン不透過像の亢進を認めた。すべての実験群の骨間隙の組織を採取し、インビトロでの細胞培養を試みた。全ての群で細胞の生着を認めた。しかし、骨延長群から採取した細胞が最も数が少ないことが分かった。この事から、良好な骨形成が起こっていることにより細胞成分が少なくなっていることが予想される。今後、幹細胞マーカーなどを用いた解析で、幹細胞が含まれる割合などに差があるかを解析して行く予定である。
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