研究課題/領域番号 |
26861727
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
徳善 紀彦 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (10723843)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / CDCA5 |
研究実績の概要 |
ヒト口腔扁平上皮癌細胞株 (GFP-SAS、Ca9-22、HSC2、HSC3) およびヒト不死化角化上皮細胞株 (HaCaT) から total RNA 、蛋白質を抽出し、リアルタイム定量化 RT-PCR (qRT-PCR) 法、ウェスタンブロット法にて、 CDCA5 mRNA および蛋白質の発現を比較検討した。その結果、CDCA5 mRNA および蛋白質の有意な発現亢進を認めた。 口腔扁平上皮癌細胞に CDCA5 を標的とした合成 small interfering RNA (siCDCA5) を導入し、50~81%の細胞増殖抑制効果を認めた。GFP-SAS 細胞に siCDCA5 を導入し、フローサイトメトリーを用いて、細胞周期に与える影響について検討した。CDCA5 の発現抑制により G1 期の細胞数が減少し、 G2 期の細胞数が増加する G2 arrest を認めた。 ヒト口腔扁平上皮癌細胞株における miR-34a の発現を qRT-PCR 法で検討したところ、 miR-34a の発現低下を認めた。口腔扁平上皮癌細胞株に合成 miR-34a を導入することで CDCA5 発現低下を認めたが、 細胞増殖抑制効果は軽度であり、siCDCA5 と同程度の細胞増殖抑制効果は認めなかった。 口腔扁平上皮癌組織における CDCA5 蛋白質の発現を免疫組織化学染色法にて確認したところ、口腔扁平上皮癌組織に CDCA5 の発現亢進を認めた。CDCA5 の発現と臨床病理学的検討を行ったところ、CDCA5 高発現群では病期の進行症例および再発転移を認めた症例が有意に多く認められた。予後については CDCA5 高発現群が低発現群と比較し、overall survival、disease free survival 共に有意に不良であり、CDCA5 の発現と予後との相関を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口腔扁平上皮癌細胞を用いた CDCA5 の発現および機能についての実験は終了し、口腔扁平上皮癌組織における発現および臨床病理学的因子や予後についての検討も終了しており、26年度に計画していた実験は終了している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は培養ヒト口腔扁平上皮癌細胞 (GFP-SAS) をヌードマウス背部皮下に移植し、siCDCA5 を導入し、抗腫瘍効果について検討を行う予定である。予備実験を開始しており、合成核酸の送達媒体としては株式会社スリー・ディー・マトリックスが開発した核 酸結合型ペプチドあるいは北海道大学大学院薬学研究院医療薬学部門医療薬学分野薬剤分子設計学研究室原島秀吉教授らが開発した多機能性エンベロープナノ構造体(MultifunctionalEnvelope Nano Device: MEND)を用いいたが、導入効率は良くなかった。そのため、株式会社 高研のAteloGene® を媒体として使用し、抗腫瘍効果について検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実験で使用した抗体などの実験試薬が予定よりも少量で実験が行えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に使用する予定の in vivo 用の合成 siRNA や in vitoro での実験に使用するサンプル増やした際に必要な実験試薬に使用する予定である。
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