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2014 年度 実施状況報告書

IgG4関連疾患の病態解明に向けた免疫学的研究―異所性胚中心形成とTh細胞―

研究課題

研究課題/領域番号 26861728
研究機関九州大学

研究代表者

前原 隆  九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教授 (10637333)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード国際研究者交流(米国) / 論文報告
研究実績の概要

本研究では、IgG4関連疾患 (IgG4-RD) 患者の病態形成における免疫学的検討を目的としている。IgG4-RD の中でも IgG4関連涙腺・唾液腺炎 (IgG4-DS) に着目し、この病態は、病変局所における多数のリンパ球浸潤と線維化を特徴とするため、その病態形成における Th 細胞の働きに着目している。IgG4-DS 患者 7例、シェーグレン症候群(SS)患者 10例および健常者 10例を対象とした。これらの患者の口唇腺および顎下腺を用いて、免疫組織化学的染色およびreal-time PCRによりTh1、Th2、制御性T細胞(Treg)、Th17、濾胞性T細胞(Tfh)の関連分子(サイトカイン、ケモカイン、ケモカインレセプター、転写因子)Tr1 (Lag3) の発現を解析した。さらに、線維化に関わるとされる FDC やマクロファージに関して網羅的解析を行った。新規分子として検索した IL-10 を多量に産生する Tr1 (LAG3) の発現は認められたが、eGS 過形成にどのように関与しているかについては、さらなる検討が必要であると考える。また、マクロファージと線維化因子(IL-10、IL-13、CCL-18) の局在と発現を検索した。その結果、IgG4-DS は他の群より、CD163 陽性細胞数および比率が有意に高かった。線維化因子は IgG4-DS 群のみに線維化部分で強い発現を認めた。CD163 と IL-10 および CCL18 の局在はほぼ一致していた。これらの結果より IgG4-DS に特徴的な線維化は M2 マクロファージの産生する IL-10 や CCL18 が重要であることが示唆された。
また、申請者は当該年度の3月より、IgG4 関連疾患の病態解明に向けた共同研究のために Harvard Medical School の関連病院である Massachusetts General Hospital の研究所に留学することとなった。今後も、日本のIgG4患者と米国におけるリツキシマブ治療前後における IgG4 患者の組織を用いて、病態解明に向けたさらなる Th 細胞ネットワークの解明と線維化のメカニズムの解明を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

IgG4 関連疾患の病態形成における Th 細胞の役割に関しては、研究成果がやや遅れているが、線維化メカニズムの解明に関しては、その研究成果の一部を Clinical Immunology に成果を報告することができた。さらには、研究成果を評価され、今年度より共同研究として米国 Massachusetts General Hospital に留学することとなった。

今後の研究の推進方策

これまでの研究成果より、IgG4関連疾患には Th2、Treg、Tfh などがその病態形成に重要な役割をしていることがわかってきた。これまでこの分野でイニシアティブをとってきた日本であるが、最近では米国で、IgG4患者の治療にリツキシマブを使用し、効果があったことが報告された。さらにその病態には Plasmablast が重要であると報告され、数々の最難関ジャーナルである N Engl J Med にそれらの概要が報告されている。日本では、ステロイド治療の効果がない一部の患者でしかリツキシマブ治療は認可されていない。そのため、今後は米国で日本の IgG4患者の組織および米国でのリツキシマブ治療前後の IgG4 患者の組織を使用して、IgG4関連疾患の病態形成における Th 細胞を主体とした免疫学的検討を推進していく所存である。

次年度使用額が生じた理由

2015 年 3 月 4 日より、Harvard Medical School の関連病院である Massachusetts General Hospital へ留学することになり、その前後で一時研究を中断せざるをえなかった。そのため、試薬購入等を控えていたため、若干の次年度使用額が生じてしまった。

次年度使用額の使用計画

2015 年 3 月より米国のラボに移り、そちらで当該研究テーマの研究を続行することになるため、研究スタートの準備と試薬購入などに資金を使用する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Clinical relevance of Kuttner tumour and IgG4-related dacryoadenitis and sialoadenitis.2015

    • 著者名/発表者名
      Furukawa S
    • 雑誌名

      Oral Dis

      巻: 21 ページ: 257-262

    • DOI

      http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/odi.12259/abstract

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Saliva as a potential tool for diagnosis of dry mouth including Sjogren's syndrome.2015

    • 著者名/発表者名
      Ohyama K
    • 雑誌名

      Oral Dis

      巻: 21 ページ: 224-231

    • DOI

      http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/odi.12252/abstract

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Preferential M2 macrophages contribute to fibrosis in IgG4-related dacryoadenitis and sialoadenitis, so-called Mikulicz’s disease.2014

    • 著者名/発表者名
      Furukawa S
    • 雑誌名

      Clin Immunol

      巻: 156 ページ: 9-18

    • DOI

      http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1521661614002447

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The diagnostic utility of biopsies from the submandibular and labial salivary glands in IgG4-related dacryoadenitis and sialoadenitis, so-called Mikulicz's disease.2014

    • 著者名/発表者名
      Moriyama
    • 雑誌名

      Int J Oral Maxillofac Surg

      巻: 43 ページ: 1276-81

    • DOI

      http://www.ijoms.com/article/S0901-5027(14)00246-X/abstract

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] DNA microarray analysis of salivary glands involved in IgG4-related disease.2015

    • 著者名/発表者名
      Ohta M
    • 学会等名
      IADR
    • 発表場所
      Boston (U.S.A.)
    • 年月日
      2015-03-11
  • [学会発表] IL-33 produced by macrophages promotes the pathogenesis of IgG4-related disease.2015

    • 著者名/発表者名
      Furukawa S
    • 学会等名
      IADR
    • 発表場所
      Boston (U.S.A.)
    • 年月日
      2015-03-09
  • [学会発表] IgG4 関連涙腺・唾液腺の疾患概念と免疫学的特徴.2014

    • 著者名/発表者名
      Moriyama M
    • 学会等名
      第24回 日本口腔内科学会・第27回 日本口腔診断学会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2014-09-20
    • 招待講演
  • [学会発表] IgG4関連疾患の病態形成におけるTh 細胞および自然免疫細胞の関与.2014

    • 著者名/発表者名
      Moriyama M
    • 学会等名
      第55回 日本神経学会学術大会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2014-05-21
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-01  

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