研究実績の概要 |
RCAS1は口腔扁平上皮癌(OSCC)において発現しており,免疫組織学的にTILにアポトーシスを誘導していることが証明された.ゆえに, RCAS1がOSCCのバイオマーカーとして有用であるという仮説をたてている.本研究では,in vitroでOSCC細胞におけるRCAS1の発現動態と機能について解析している.次に,RCAS1がOSCCのバイオマーカーとして有用であるかを臨床的に検討する.具体的には,①OSCC由来細胞における膜型•分泌型RCAS1の発現動態を検索する ②OSCC由来細胞が発現するRCAS1によるアポトーシス誘導能について検討する ③膜型および分泌型RCAS1がどのようにアポトーシス誘導能に影響するかを検討する ④OSCC患者の血清中のRCAS1値と臨床病理因子および臨床経過との関連を検索する の4つである. 昨年度は,HSC-2, HSC-3, SQUU-A, SQUU-Bを培養皿に付着させた後,4日間培養を行った.膜型RCAS1の検索は付着完了時に行った.分泌型RCAS1の検索を付着完了時から1,2,3,4日後に行い,Flow cytometry法で膜型RCAS1,Dot blot法,ELISA法で分泌型RCAS1の発現を確認した. 今年度は,HSC-2, HSC-3, SQUU-A, SQUU-Bと白血病細胞株K562の共培養を行い,RCAS1によるアポトーシス誘導能について検討した.これは,細胞間接着により誘導される膜型RCAS1によるK562に対するアポトーシスを検索するものである.具体的にはOSCC由来細胞とK562を4日間共培養した.K562のアポトーシスの検索は,付着完了時から1,2,3,4日後にFlow cytometry法を用いて行った.結果として,すべてのOSCC由来細胞が発現する膜型RCAS1により,K562のアポトーシスが誘導された.
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