研究課題/領域番号 |
26861732
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
今井 裕子 九州大学, 大学病院, 助教 (30592688)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ameloblastoma / RANKL / TRP channel |
研究実績の概要 |
本年度は最終年度であったが、論文投稿まで至らなかったので、延長申請を行った。なお研究内容については、昨年度までの続きとして、1) 細胞融合に関する検討、2) 細胞外Ca2+流入経路に関する検討、3) 上皮-間葉及び上皮-マクロファージ転換についての検討、という3項目を中心に実験を行った。その結果、外液に1mMCa2+を負荷した状態では、細胞塊の立体構造が変化し、一見細胞融合が起こったように観察されるが、あらかじめ緑と赤の2色の色素蛋白を別々に遺伝子導入した細胞同士を共培養しても融合した細胞は見つからなかった。一方でRANKL投与により、破骨細胞と同様にCD68の発現や上皮間葉転換のマーカーであるE-cadherinの発現上昇とN-cadherinの発現低下が観察(上皮間葉転換:EMT)され、同時にNFATc1とNFATc2の発現変化が見られた。さらに破骨細胞に比して少ないが、V-ATPase及びcathepsin Kの発現も見られた。なお、前年から引き続き細胞外Ca2+流入経路の同定も行ったが、AM-1でのチャネルの発現及び各種阻害薬の効果により、TRPV2が有力候補であることが確認された。これまでの実験結果をまとめると、エナメル上皮腫細胞であるAM-1は、生体内の通常のCa2+濃度により凝集・細胞塊の不正な立体形成を引き起こすことから、多胞型の特徴であるバブルソープ状を形作ることに繋がる要素の一つとなりうるものであると考えられた。この現象を惹起するためのCa2+流入はTRPV2由来であり、周囲の骨芽細胞や破骨細胞、さらには自らにより放出されるRANKLにより、破骨細胞と同様にCD68の発現や上皮間葉転換、さらにはNFATc1及びNFATc2といった転写因子の制御を行っていること、さらにCathepsin KやV-ATPaseの発現により周囲の骨を溶解することが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度までに研究成果を論文にまとめるつもりであったが、実験が遅れてしまい、そこまで至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はこれらの研究成果及び追加実験を行い、年度内に論文投稿・受理されるよう努力する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度内に研究成果を論文にまとめる予定であったが、実験が遅れてそこまで至らなかった。そのため、論文投稿に必要な英語校閲や論文投稿料として用意していた研究費が残ってしまった。
|
次年度使用額の使用計画 |
上記の理由から、研究期間を延長し、現在残っている研究費を論文作成時の資金として使用することとした。
|