研究課題
われわれはこれまで、HTLV-1陽性シェーグレン症候群患者と陰性シェーグレン症候群患者では臨床像および免疫学的所見について比較を行い、唾液腺造影検査では進行例が多い、口唇腺生検ではリンパ球浸潤が強い、血清学的所見においては抗SS-B抗体の陽性率が低いといった結果を示してきた。成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)は、予後不良を伴う侵襲性の高いリンパ腫であり、ヒトT細胞リンパ球指向性ウイルス1(HTLV-1)による感染によって引き起こされる。しかし、HTLV-1感染者でATLLを発症する人は10%に満たないことから、細胞遺伝子の体細胞変異が疾患の発症を促進するかもしれないことが示唆されている。Nakagawaらは、ATLL患者のRNAトランスクリプトーム分析を実施し、ケモカイン受容体CCR4をコードするCCR4に変異を見出し、CCR4変異体を発現しているATLL細胞は、野生型CCR4を発現しているATLL細胞と比較して、より高い程度まで増殖すると報告している(J. Exp. Med. 211, 2497–2505 (2014))。われわれは従来、シェーグレン症候群の発症・病態進展のメカニズムに着目しており、特にT細胞の遊走に関わるサイトカイン・ケモカインの研究を行ってきた背景があり、今回の研究で、HTLV-1陽性と陰性のシェーグレン症候群患者の口唇腺を用いて、サイトカイン・ケモカインについて免疫学的検討を行ったところ、MDC、TARC、CCR4の局所での発現と局在には明らかな違いを認めた。このように、HTLV-1陽性のシェーグレン症候群でもCCR4の変異が非感染のシェーグレン症候群と異なった病態を示している可能性が考えられた。
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