がん抑制遺伝子Cylinromatosis (CYLD)に対するsiRNAを、口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞株に導入すると分裂休止が誘導・維持されるという知見を発展させるべく、いくつか検討を行った。Tet-on shRNAシステムを用いた検討では、CYLDの発現抑制が弱いという点を解消すべく、現在改善を目指している。また、CRISPR/Cas9と相同組み換え技術を利用して、CYLDがノックアウトされた細胞では赤色蛍光を示すシステムを確立した。現在、OSCC細胞へ当該システムを応用して静止状態について検証中である。 また前年度に引き続き、OSCC細胞HEp3を移植したマウスより株化した休眠骨髄播種癌細胞(BM-DTC)由来株の解析を行った。その結果、休眠BM-DTC由来株の遺伝子発現プロファイルは、親株や肺転移巣由来クローンと大きく異なることが分かった。さらに、休眠BM-DTC株をマウス皮下に移植した場合、腫瘍成長の増加や肉眼的な骨転移は認めなかったものの、マウス生存期間は親株移植マウスより有意に短縮した。これは、休眠BM-DTCが、本質的に高い転移形成能を有することを示唆している。
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