研究課題
われわれは口腔扁平上皮がん(OSCC)細胞株を用い、口腔癌治療のKey drugである5-FUを用い、5-FU耐性株を樹立した後、その解析結果にてアポトーシス阻害タンパクであるcIAP2の重要性を提示した。また、実際の口腔癌患者において、cIAP2が高発現しているほど、5-FUを使用した放射線化学療法の治療効果が低くなり、予後不良となることを見いだした。われわれは以前、OSCCにおいてcIAP2の発現が、もう一つのKey drugであるCDDPに対して耐性をもたらし、CDDP感受性因子ならびに予後因子となることを報告した。これらのことはcIAP2が多剤耐性の標的因子となる可能性を示した。cIAP2発現調節メカニズムを解析する上で、microRNAの発現解析を行ったところ、miR-30aが2つの5-FU耐性株にて有意に発現が上昇しており、親株にmiR-30aを過剰発現させたところ、アポトーシス耐性を示した。また、5-FU耐性株の解析結果により、細胞外基質でなるFibronectinの発現亢進が、細胞表面のインテグリンレセプターと結合し、ILK/Akt/NF-κBの様な細胞生存シグナルを活性化することにより、抗がん剤耐性をもたらすという、細胞周囲環境の変化による抗がん剤耐性メカニズムの1つを報告した。
3: やや遅れている
出向にて大学病院以外の病院にて勤務しており、共同研究者に研究の進行を依頼した。
今後も、さらなる耐性メカニズムの探索ならびに、抗アポトーシス因子阻害薬による、抗がん剤耐性および抗腫瘍作用に関して検討を進めていく予定である
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