口腔・顔面領域の痛み情報が大脳皮質へ伝えられる神経回路の中で、特に三叉神経脊髄路核尾側亜核(Sp5C)は痛みの感覚のみならず、不快感や恐怖感などの情動面や様々な自律神経系反応、そして痛みの調節機構(下行抑制系)など、痛みという感覚の持つ複雑さに直接関与していると考えられる。このため、この核のニューロンに着目し、単一痛覚ニューロンを詳細に解析し、『痛みの地図』を明らかにするべく研究を開始した。その結果、当初目標としていたSp5Cから視床へ直接投射するニューロンの数は非常に少なく、三叉神経脊髄路核内あるいはごく近傍領域への投射ニューロンの数が圧倒的に多い事がわかった。
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