歯周病原性細菌感染により進展する歯周病や動脈硬化の発症に、歯周病原菌と相同性を有する熱ショックタンパク質(HSP)に対する自己抗体がT細胞制御を介してどのように関わっているかを検証している。更に細菌が産生する熱ショックタンパク質(GroEL)を用いての舌下免疫寛容の導入により、感染で誘導される歯周病並びに動脈硬化の進展予防の可能性を探る。最終年度はマウスを用いて舌下免疫寛容実験を行った。 ①P.gingivalisリコンビナントGroELの精製 P.gingivalisからCloningしたGroEL遺伝子を含むplasmid DNA (pRSET B-HSP60)をEscherichia coli BL21に 導入し、Tabetaらの方法に準じて精製を行った。形質転換株の発現量を確認後、菌体を大量培養し、得られた菌体からアフィ二ティークロマトによりリコンビナントGroELを精製した。 ②経口免疫寛容実験 ヒトHSP60ペプチドと相同性を有するP.g.GroELやヒトβ2GPIペプチドと相同性を有するP.g.ペプチドをアジュバントと共にマウスに舌下投与した。自然発症又はP.g.感染で誘導される動脈硬化が抑制されているか否かを①動脈硬化の発症・進展状況の判定、②大動脈組織の免疫組織染色及び定量PCR、③血中の自己抗原、自己抗体の検出、④T細胞サブセット解析(血液)で判定した。抗原特異的粘膜免疫誘導の為の効果的なアジュバントとしてフラジェリン、無毒化コレラ毒素、FL3リガンド、マルトース結合蛋白の効果を、効果的な投与経路として舌下の他に経鼻、経皮、頬粘膜等の効果を合わせて検討した。
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