心疾患や肺癌では顎顔面口腔領域に関連痛が認められるが、その詳細な機序は未だ不明であり内臓痛が顎顔面口腔領域に関連痛として現れる機序の解明を目的とした。 生後2日齢新生仔ラットの腹腔内にカプサイシン50mg/mlを投与し、その後6週齢まで育てたラットを実験群、カプサイシン非投与で同様に6週齢まで育てたラットを対照群とした。まず、実験群で内臓感覚を伝えるニューロンが集まる篩状神経節(nodose gannglion・NG)においてニューロンの減少を確認した。また、カプサイシン感受性のチャネル(TRPV1)および痛覚に関与するといわれている電位依存性ナトリウムチャネル(Nav1.8)を免疫組織化学的に観察した。実験群と対照群のNG TRPV1チャネルおよびNav1.8陽性ニューロンの割合を比較した。その結果TRPV1陽性ニューロンは、対照群では70%に陽性を示したが、実験群では55%と減少した。一方Nav1.8陽性ニューロンは対照群では61%、実験群で71%と逆に実験群が増加した。 以上より新生仔期のカプサイシン投与は成熟期における一次感覚ニューロンの数を減少させただけでなくチャネルの発現の割合にも影響を与えることが示唆された。
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