研究課題/領域番号 |
26861756
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
山本 徹 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20707335)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 疼痛研究 / エンドセリン / 口腔顎顔面領域 |
研究実績の概要 |
平成 26 年度は,慢性疼痛モデルである神経障害性疼痛モデルラットを作製し,行動学的手法を用いて口腔顎顔面領域での慢性疼痛とエンドセリン受容体の関与の有無について明らかにする計画とした.6 週齢 Wistar 系雄性ラットを購入後,鶴見大学動物実験施設で1週間馴化を行い,7 週齢の時点で実験を開始した.まずペントバルビタール麻酔下(50 mg/kg,i.p.)でラットの下顎骨を骨切削用歯科用エンジンを用いて切削し,下歯槽神経を露出させ,これを 4-0 絹糸で緩く結紮する手術を施行し,神経障害性疼痛モデルラットを作製する研究に着手した.この下歯槽神経の結紮処置施行が困難であり,現在追加手術器具の購入と同時に結紮する神経を変更して眼窩下神経結紮モデルの作成に着手をしているところである.また行動学的な実験を遂行するにあたって,機械的刺激を評価するvon Frey filaments (動物用 Semmes-Weinstein monofilament set,室町機械)や熱刺激への応答を評価する輻射熱刺激装置(TFA-1, 司技研)を購入し機材の整備を行った.さらにエンドセリン受容体アゴニスト・アンタゴニスト等の薬物購入を進めている.併行実験のマイクロダイアリシス研究に関しては,マイクロダイアリシスプローブの自作や,全身麻酔下にラットを脳定位固定装置に固定し,プローブの先端を青斑核へ留置する段階まで成功した.こちらは実験手技の精度を向上させ神経化学的検討を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1週間ラットの馴化を行ったのち,ペントバルビタール麻酔下(50 mg/kg,i.p.)でラットの下顎骨を骨切削用歯科用エンジンを用いて切削し,下歯槽神経を露出させ,これを 4-0 絹糸で緩く結紮する手術を施行し,神経障害性疼痛モデルラットを作製する計画であったが,この下歯槽神経は下顎骨に囲まれている小さな神経であり,下顎骨の露出後,神経の結紮処置が困難であり難航している.この疼痛モデルラットを作成後,機械刺激や熱刺激に対する反応性を観察する行動学的実験を計画していたが未だ到達に至っていない.神経化学的検討としてin vivoマイクロダイアリシス法を用いた研究に関しては,実験に用いる器具の製作やラット脳部位へのプローブ留置まで成功しており,今後神経伝達物質の定量測定を行う前段階まで来ていることから,全体としてはやや遅れながらも進行している.
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今後の研究の推進方策 |
神経血管結紮用手術器具の購入を進めている。購入後速やかに再度実験を行い疼痛モデルラットの作成を進める予定である。この下歯槽神経結紮モデルの作製が当初計画どおりに進まない場合は, 先行報告の多い眼窩下神経結紮モデルに変更して検討を行う方策をとる予定である.神経化学的検討としてin vivoマイクロダイアリシス法を用いた研究に関しては,青斑核(LC),大縫線核(RMg),前帯状回皮質(ACC)への局所灌流投与し,痛覚に関するこれらの脳部位での神経伝達物質のシナプス間隙量の測定を行い,痛覚や情動および下行性疼痛抑制系に関与する脳部位でのエンドセリン受容体の役割を検討していく方策である.
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次年度使用額が生じた理由 |
疼痛モデルラットに対し行動学的検討に使用する薬物や、併行実験のマイクロダイアリシス関連用品の購入段階に至らなかったため
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次年度使用額の使用計画 |
設備備品として,神経化学的検討を行うためマイクロシリンジポンプ(ESP-64,エイコム)やその他必要薬物・器材の購入を考えている.
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