研究課題/領域番号 |
26861758
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
大郷 英里奈 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (50707073)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 半導体レーザー / 低反応レベルレーザー治療 / 炭酸ガスレーザー / 疼痛緩和効果 / 病理組織学的検証 / 抜歯後疼痛 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、歯科用レーザー照射におけるLLLTの疼痛緩和効果の神経学的機序を明らかにし、簡便で副作用の少ない治療法を確立する。 平成26年度の研究にあたって重要なことは神経障害性モデルラットを作製することである。そのためまずラットの下歯槽神経を損傷させ、その後行動学的検討によりモデルラットから作製できたかを確認した。その結果疑似手術ラット群に比べ、下歯槽神経損傷ラット群の方が疼痛閾値が有意に低下、つまり通常疼痛と感じないレベルの刺激を疼痛と感じていることが解析された。次に数多くの論文で報告されている神経障害性疼痛の発症初期に増加するとされているIba1(マイクログリアマーカータンパク)とGFAP(アストロサイトマーカータンパク)も疑似手術群より下歯槽神経損傷ラット群で有意に増加している事を病理組織学的検討による解析で確認した。この事により下歯槽神経障害による神経障害性疼痛モデルラットを作製できたと考える。次に本研究の本題である合併症のほとんどなく疼痛緩和に有効といわれる半導体レーザーを使用したLLLT照射条件設定の予備実験を行っていた。 予備実験として作製した神経障害性疼痛モデルラットの下歯槽神経相当部に対して顔面の頬から照射総熱量40、80、120mjと3群に分けて照射を行い、照射後6時間後に屠殺を行い病理組織学的に観察した。結果120mj群では皮膚上皮の実質欠損と組織の炭化、80mj群では上皮層と粘膜下層との間に水泡形成みとめたのに対して、40mj群では不可逆的な組織学的変化を認めなかった。よって本研究でのLLLT照射条件は照射総熱量40mjにおいてLLLT効果が発揮されると判断し条件とした。炭酸ガスレーザーを使用した抜歯窩へのLLLT照射に関する研究を行い論文に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初神経障害性疼痛モデルラットの作製に手術的手技および熟練に時間を要すると思われていたが同じ手技的ミスもほとんどなく確立に思ったほどの期間を費やす事なく順調に進んだ。もう一つの問題であるLLLT照射条件設定のため予備実験においても現時点では総熱量40mjで決まると考えられる。しかし妊娠出産のため入院治療が必要となり時間的制約ができ今後の研究に関して遅れが生じる。(独立行政法人に本学術振興会には報告済みである)
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今後の研究の推進方策 |
産前産後休暇・育児休暇取得の後に研究環境の整備を迅速に進めると同時に今までの実験データ解析を行い論文作製と実験を同時に平行で行っていく。また、順次下歯槽神経損傷ラットに対して半導体レーザーにおけるLLLT効果を行動学的検討にて確認し、LLLT効果における三叉神経・延髄の分子動態の影響を病理組織学的に検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
環境整備にやや遅れが生じた事と出産・育児休暇の取得により研究を中断しているため、本年度に使用する研究費が次年度に繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
育児休暇終了後にすぐに実験環境の整備を行う。使用予定としては実験動物の行動学的検討に用いるゲージやえさ等、また免疫組織学的検討に必要な器具・薬剤などを順次購入し実験を円滑に進めていく予定である。
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