口腔外科手術時に患者頬脂肪体より脂肪組織を採取し、コラゲナーゼ溶液で処理後、遠心分離操作により脂肪組織を浮遊する成熟脂肪細胞と沈殿したストローマ分画に分離した。浮遊した成熟脂肪細胞のみをピペットで回収し、通常培地(ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)+ 20%ウシ胎児血清(FBS))で完全に満たしたフラスコに播種した。次いで本来のフラスコ底面が上面に来るようにフラスコを反転させ、インキュベータ内(37°C、5%CO2)で1週間培養した(天井培養法)。成熟脂肪細胞は油滴を含むため浮遊し、フラスコ天井側に付着後、非対称性細胞分裂を起こし、線維芽細胞様の形態を呈する脱分化脂肪細胞(dedifferentiated fat cells:DFAT cells)が樹立された。DFAT cellsの細胞表面抗原をフローサイトメトリーにて解析した。フローサイトメトリー解析の結果,DFAT cellsはSTRO1、CD44、CD90、CD105、CD166陽性であり、CD19、CD45、CD106、CD146陰性であった。またGFP遺伝子改変マウスの鼠蹊部より脂肪組織を採取し、天井培養法にてDFAT cellsを樹立した。GFP遺伝子改変マウス由来DFAT cellsの形態や数を蛍光顕微鏡を用いて確認した。さらに放射線照射による唾液腺障害マウスを効率よく作製するため、動物への照射線量、照射部位の検討を継続している。
|