研究実績の概要 |
我々は、現在までに破骨細胞形成に必須のサイトカインであるM-CSF のレセプターであるc-Fms に対する抗c-Fms 抗体がin vivoにおいてTNF-αやLPS が誘導する破骨細胞形成および病的骨吸収を抑制することを発見した。本研究は、抗c-Fms抗体が結合する領域を決定し、その領域のぺプタイドをM-CSF の結合を阻害するアンタゴニストとして使用し、破骨細胞形成および病的骨吸収抑制への応用を検討する。我々は、現在までにすでにリコンビナントc-Fms蛋白を作製している。このリコンビナントc-Fms蛋白に我々が使用している抗c-Fms抗体がウェスタンブロティングで反応することから、抗c-Fms抗体が反応する部位(B-cellエピトープ)がM-CSFとc-Fmsの結合を抑制する可能性が十分考えられた。そこで骨髄細胞を用いた破骨細胞形成に対してリコンビナントc-Fms蛋白を作用させたところ破骨細胞形成を抑制した。また、in vitroにてリコンビナントc-Fms蛋白の破骨細胞形成に対する濃度依存的な実験を行った。0μg/ml,10μg/ml,100μg/ml,1000μg/ml,10000μg/mlの濃度で作用させたところ100μg/mlの濃度から抑制効果が現れ、また1000μg/ml,10000μg/mlの濃度で多核の細胞が減少した。ことから、B-cell エピトープ領域のぺプタイドで破骨細胞形成を抑制できることが予想できる。c-Fms のM-CSF の結合領域を含む細胞外領域は、492 のアミノ酸からなり1476 塩基でコードされている。この細胞外領域をコードするc-Fms 遺伝子をクローニングしている。現在c-Fms 遺伝子のサブクローニングおよび抗c-Fms 抗体反応領域のスクリーニングを行っており、クローニングしたc-Fms 遺伝子を適当な制限酵素サイトを利用して切断し発現ベクター(pGEX)に組み込み、サブクローングし、大腸菌にて発現の誘導を行い、そのライゼートと抗c-Fms 抗体の反応をウェスタンブロッティングで確認を行っている。
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