研究課題/領域番号 |
26861770
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 龍史 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90706699)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 歯根膜 / 間葉系幹細胞 |
研究実績の概要 |
現在、先天的および後天的歯の欠損部位への補綴治療として用いられているデンタルインプラント治療は、機能回復において有効とされているものの、歯根膜組織が欠落しているため、歯根膜機能や神経機能などの歯の生理的機能を有しておらず、完全な機能的咬合系の回復することはできていない。このような背景から、欠損歯の咬合機能回復に貢献する歯根膜機能を、幹細胞と組織工学技術よって補うことが可能となれば、天然歯とほぼ同等の生理機能を有する次世代のハイブリッド型インプラントとして、より生物学的な機能的咬合系の回復が可能であると考えられる。また、歯根膜線維を有したインプラントが患者の生活の質を向上させるだけでなく、人工歯根膜再生の知見が、歯周病の治療および歯周組織再生への応用も期待される。そのため、人工歯根膜再生の基盤的技術の開発は、患者および術者から切望されている。 ヒト歯根膜から分離した細胞に、京都大学iPS研究所でサブクローニングされたiPS細胞作製用プラスミドを遺伝子導入してiPS細胞樹立を試みた結果、iPS細胞が得られた。得られたiPS細胞がES細胞と同様に多分化能を有しているか、RT-PCRおよび免疫化学染色を行った結果、多分化能を有していることが示唆された。また、ヒトiPS細胞から間葉系幹細胞への誘導を試みており、再現性の得られた実験系の確立を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今後予定している実験系は、ヒト歯源性細胞由来iPS細胞を用いる。ヒト歯根膜細胞由来iPS細胞の作製に成功したが、ES細胞と同様に多分化能を有しているか検討を行っている。多分化能を有していることが確認されたが、再現性の高い安定した結果を得る事に苦慮している。ヒト歯源性細胞由来iPS細胞の樹立は今回の研究の基盤となる実験であり、この系が確立したことにより、研究はやや遅れているが今後の実験の見通しが明るくなったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト歯源性細胞由来iPS細胞から間葉系幹細胞誘導を介して歯根膜細胞への誘導を目指す。このようにして得られた歯根膜細胞について、形態学的検討、多重蛍光染色を用いた形態学的検討、蛍光退色法を用いた機能性の検討を行い、初代歯根膜細胞との比較検討を行う。また、ヒトiPS細胞由来歯根膜細胞がin vivoにおいて歯根膜の再生能を有することを検討するために、無胸腺ラットの歯周組織欠損モデルにヒトiPS細胞由来歯根膜細胞の移植を行い、歯根膜再生の評価を行う。
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