様々な機能を有することが明らかとなってきた一次繊毛の舌発生における機能の解明を目的とする。予備実験で認められた舌の欠損が全てのIft88欠損マウスに、舌における異所性の骨や脂肪の形成が、全てのOfd1欠損マウスに認められることを確認した。また、acetylated-a-tubulinの免疫染色により、Ofd1;Wnt1Cre(Heterozygous)マウスの舌で、一次繊毛が著しく短くなっていることを見出した。Ofd1;Wnt1Cre(Heterozygous)マウスの舌に認められる骨の検索のために、マイクロCTによる観察ならびに骨芽細胞のマーカー遺伝子の解析を行った結果、舌の骨が下顎骨に連続し、舌内に認められる骨芽細胞マーカー遺伝子陽性ドメインが、下顎骨内のそれと連続していたことから、下顎骨の骨芽細胞が舌内に侵入し、舌内に骨を形成していることが示唆された。また、舌の認められなかったIft88;Wnt1CreマウスのE10.5日で、筋肉の前駆細胞をMyf5の発現で確認した結果、Ift88;Wnt1CreマウスにおけるMyf5の発現の著しい低下が認められた。さらに、神経堤由来細胞特異的欠損マウスで、舌に異常のあったIft88とOfd1の両方を神経堤由来細胞特異的に欠損させたマウス(Ofd1;Ift88;Wnt1Creマウス)を作成し、舌の変化を、Ift88とOfd1単独欠損マウス(Ofd1;Wnt1Cre、Ift88;Wnt1Cre)と比較した結果、Ofd1;Wnt1Cre、Ift88;Wnt1CreとOfd1;Ift88;Wnt1Creマウスの間に著しい変化は認められなかった。これらのことから、Ift88とOfd1間に、直接的な関連性がない可能性が高いことが示唆された。以上の結果から、舌の間葉細胞のOfd1が舌形成に必須の分子であることが示された。
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