研究課題/領域番号 |
26861780
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高須 奈々 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 特別研究員(RPD) (30467394)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 内的脱同調 / 概日リズム / 体内時計 / 視交叉上核 |
研究実績の概要 |
「内的脱同調」は生体における複数の生理機能日内リズムが乖離することを示す。すなわち、強制的睡眠覚醒サイクルを設定した場合、体内時計に駆動される生理機能リズムの位相と、睡眠覚醒スケジュールが乖離することが、もっとも生じやすい状況であり、社会生活を営む人の日常にはしばしば起こり得る状況である。本研究では内的脱同調モデルマウスを作製し、内的脱同調の神経回路基板を明らかにすることを目的とする。初年度は、光環境を人為的に操作することにより、慢性的内的脱同調マウスを作製し、体内時計中枢・視交叉上核が制御する輪回し行動リズムを指標の一つとし、別の生理機能リズムと対比することにより、内的脱同調状態を確認した。更に環境条件を付与した直後に視交叉上核の概日リズムを記録するex vivo測定系を確立し、輪回し行動リズム、視交叉上核リズム、生理機能リズムの複数生理パラメーター同一個体記録が可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、マウス個体行動、生理機能、視交叉上核レベルのリズム測定系を整備し実験条件の最適化を済ませた。次年度に完了する研究計画遂行の基盤として十分な成果といえる。
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今後の研究の推進方策 |
内的脱同調を回避する環境プロトコールの策定を行う。平成26年度に確立した内的脱同調を生じる環境条件は光を調節要因とする視交叉上核性リズムから乖離する生理機能を対象とするため、通常リズム障害における第一選択となる光環境調節による同調プロトコールは奏功しないと考えられる。そこで、環境同調因子として摂食タイミングのコントロールを効果的に作用させる計画である。また、内的脱同調を引き起こす標的神経回路領域を絞り込むことで、特異的に作用する薬理学的調整因子の検索を行う。本研究期間を通してマウスを用いた動物実験で基礎的神経回路機構を明らかにし、将来的には小児歯科臨床における生活指導への応用を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の早期遂行を優先させたため、旅費を計上していた学会の参加を見合わせた。その分、研究補助員の技術指導を行うことができ、次年度以降の研究進展が期待できる。
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次年度使用額の使用計画 |
研究補助員の雇用時間(謝金)が増加することが予想されるため、繰り越し分は謝金に充てる。
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