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2014 年度 実施状況報告書

ライブイメージングから探る口蓋裂発症のメカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 26861781
研究機関大阪大学

研究代表者

岡 綾香  大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20635403)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード口蓋の癒合 / GFPマウス / ライブイメージング
研究実績の概要

口蓋は胎生期に左右の口蓋突起が癒合して形成されるが、このプロセスが障害されると口蓋裂が生じる。癒合前の口蓋突起は上皮で覆われており、癒合後に間葉組織の連続性を経て口蓋を形成する為には癒合部の上皮が取り除かれなければならない。この上皮が消失する細胞機構についてはアポトーシス、上皮の遊走、上皮から間葉の移行等が報告されているが未だ結論は出ていない。本研究初年度は口蓋の上皮を蛍光蛋白(GFP)にて標識したマウス(K14-GFP)を用いて器官培養を行い、口蓋の癒合時におけるライブイメージングの条件設定等、実験系を立ち上げる事を計画していた。最初に二次口蓋の培養条件を検討する為にマウスの様々な胎生時期においてマウスの二次口蓋を取り出し、蛍光標識試薬をもちいて顕微鏡下で器官培養を行い、観察を行った。その結果、胎生14.5-15.0日の胎児二次口蓋を用いて器官培養を行うと上述した二次口蓋の上皮除去のタイミングでライブイメージングを行える事を明らかにした。さらに培養時間の検討も行い、器官培養を72時間以上続けると口蓋組織の壊死や著しい形態変化等の本研究の遂行上望ましくない現象も確認する事が出来た。これらの結果を基にK14-GFPマウス胎児を用いて顕微鏡下にてライブイメージングを行った。その結果、E14.5の培養開始からおよそ24時間程度で二次口蓋の上皮除去予定領域にて顕著なGFP陽性の上皮細胞の移動が認められた。その後、GFP陰性の口蓋間葉組織が露出する事も確認された。これらの結果より口蓋突起癒合時の上皮除去には細胞移動が深く関与している事、本実験系が正常な口蓋発生を模倣しており今後更に詳細な解析を進める事によりこれまで明らかにされていない口蓋癒合のメカニズムが解明される事が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の研究は口蓋の器官培養の条件設定を行い、ライブイメージングの実験系を立ち上げる事を目的としていた。現在までに既に口蓋癒合時のライブイメージングを行う条件(用いるマウス胎児のステージ、タイムラプスの撮影間隔、蛍光強度、培養時間等)検討はほぼ終了しており、研究計画通りおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

昨年度で得られた培養条件を基に本年度は更に実験回数を重ねてより信頼出来るデータを蓄積する予定である。器官培養をした後のサンプルについては組織切片等を作製し、移動が確認された細胞群についての形態学的な観察を行い、同部における遺伝子発現解析等を行う事により上皮細胞移動の分子機構についても明らかにする。また同じ培養やタイムラプスの条件下で口蓋の上皮に加えて間葉細胞の動態の観察も行う。更に口蓋上皮除去の際に重要なイベントである細胞死(アポトーシス)もライブイメージングを用いて口蓋癒合中に起こる部位やステージを詳細に同定する。これらの実験を行う事により口蓋癒合のこれまでに明らかとなっていない詳細なメカニズムが解明する事が予想される。

次年度使用額が生じた理由

昨年度の研究において、当初予定していた薬品・試薬が必要なくなり、本年度に使用したいため。

次年度使用額の使用計画

昨年度で得られた培養条件を基に本年度は更に実験回数を重ねてより信頼出来るデータを蓄積する予定である。本年度の実験費として使用し、研究をすすめていく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 下顎頭の変形を伴う開咬症例に対し、上顎骨仮骨延長術と上下顎骨骨切り術を行った一治験例2014

    • 著者名/発表者名
      武田理恵子、留和香子、岡 綾香、相川友直、古郷幹彦、山城隆
    • 学会等名
      73回 日本矯正歯科学会大会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉県・千葉市)
    • 年月日
      2014-10-20 – 2014-10-22
  • [学会発表] 骨髄移植時の放射線および化学治療後に歯牙の発育障害を認めた骨格性3級の前歯部反対咬合症例2014

    • 著者名/発表者名
      西村佳世、岡 綾香、社浩太郎、山城 隆
    • 学会等名
      第56回近畿東海矯正歯科学会学術大会・総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2014-06-29
  • [学会発表] 下顎骨低形成を伴う顎関節強直症に対する外科的矯正治療の一例2014

    • 著者名/発表者名
      武田理恵子、岡 綾香、社浩太郎、相川友直、飯田征二、古郷幹彦、山城 隆
    • 学会等名
      第24回日本顎変形症学会総会・学術大会
    • 発表場所
      アクロス福岡(福岡県・福岡市)
    • 年月日
      2014-06-10 – 2014-06-11
  • [学会発表] 成人期に矯正歯科治療を開始した両側性唇顎口蓋裂の一症例:水平的仮骨延長術による咬合の改善2014

    • 著者名/発表者名
      岡綾香,上松節子,谷川千尋, 社浩太郎, 清水英孝, 岩井聡一, 由良義明, 山城隆
    • 学会等名
      第38回日本口蓋裂学会・学術大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道・札幌市)
    • 年月日
      2014-05-29 – 2014-05-30

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公開日: 2016-06-01  

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