本研究では、矯正力によって圧迫される歯周組織に低酸素状態が惹起され、小胞体ストレスと小胞体ストレス応答が生じるかを検討した。その結果、歯槽骨中で、低酸素マーカーであるピモニダゾールが示す低酸素状態となる組織部位を特定した。さらに、小胞体ストレスマーカーであるXbp1おおよびChopのmRNAの発現をin situ hybridyzationによって確認した。さらに詳細な解析が進めば、これまで明らかにされていない歯の移動における小胞体ストレスのメカニズムが解明されることが期待され、矯正治療のリスクとされている歯根吸収や歯槽骨レベルの低下等の解決の糸口となる基盤的所見が得られることが期待される。
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