研究課題/領域番号 |
26861788
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
廣瀬 尚人 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (50611935)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 下顎頭吸収 / PCR / 顎関節症 |
研究実績の概要 |
当該年度、我々はラット下顎前方位モデルを用いた検討を行った。計画では下顎頭が過度に前方へ牽引された状態を想定して下顎頭軟骨および後部結合組織を採取しPCR解析による検討を行う予定であった。また下顎頭の組織切片を作製してインテグリンの同定やび炎症性変化について検討を行う予定であった。これまでの実験により下顎頭の採取、PCR解析は行われ、炎症性変化が生じていることは解析された。また数種類のインテグリンが下顎頭で発現していることを確認した。さらに実験を確実なものにするためにN数を増やす必要があるが、この下顎前方位モデルではラットがストレスおよび摂食障害により死亡するケースが多いことが明らかとなった。よって今後このモデルで実験を遂行すべきか現在検討中である。 このため、平成27年度に行う予定であったin vitroでの細胞実験を先行して行っている。当初採取したラット下顎頭軟骨細胞と後部結合組織細胞を培養し、その炎症性の変化および差について検討する予定であった。しかしモデルの再構築の検討を行っているということ、またこの両細胞の採取~培養が現在スムースに行われていない。よってすでにCell lineとして構築されているマウス胚性腫瘍細胞由来の軟骨細胞であるATDC5を用いて機械的刺激対する検討を行っている。今後はATDC5によりある程度傾向を把握し、実際に採取したラットの細胞培養が完成した段階でそちらへ実験を移していくことになる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験が遅れている一番の理由に関してはモデルラットから安定した結果が得られていないことにある。このモデルでの実験ではストレスや摂食障害でラットが死亡することがある。また下顎を前方位で固定するときに前歯を用いるのだが、成長により前歯が伸びることから実験途中で固定が外れることが時々見受けられた。これらの問題により安定して実験数が確保できないのが結果に確信が得られない一番の理由である。またこのモデルが安定していないことから、採取した下顎頭軟骨細胞および後部結合組織細胞の検討についても結果に確信がもてない部分がある。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで述べたように、モデルラットの構築の点で実験は少し遅れている状況である。今後はまず安定したモデルの構築を行うことを最優先で行う必要がある。下顎前方位のこのモデルのこれらの障害が除かれないようであれば、下顎の設定は少し異なるが、すでに我々の研究室で構築されている下顎頭軟骨の圧迫モデル(過開口モデル)を利用し、類似した状態が顎関節に作れるか検討を行う必要があると考える。いずれのモデルにせよ、その後細胞を採取することは可能であることから、in vitro の実験は大きな困難がなく進められると考えており、モデルさえ確立されれば研究の遅れを取り戻せると確信している。
|