平成26〜27年度の研究では、『アレルギーは骨減少のリスク因子か』というテーマでケンキュを行なった。具体的には、まずアレルギーモデルマウスの作成を行なった。さらにELISA法を用いて血清における血液動態変化の確認、肺組織の免疫染色による好酸球発生の確認を行なうことで、アレルギー発症の確認を行なった。また、硬組織への影響を確認するために、microCTを用いて大腿骨骨密度等を測定、3点曲げ測定による易骨折性の確認や組織学的観測、さらに骨髄細胞を採取し、破骨細胞形成を確認することにより骨減少が示唆された。骨減少が何に起因するのかを確認するため、脛骨よりRNAを採取し、炎症性サイトカイン関連因子や骨代謝関連因子、脂質代謝関連因子群のreal time PCRを行なった。そこで骨代謝との関連が示唆された脂質代謝関連因子をELISA法により定量化を行なった。 これまで、慢性関節リウマチや慢性肺疾患などの全身疾患が続発性の骨粗鬆症に繋がることが報告されて いる。アレルギーの慢性的な罹患が骨減少や骨粗鬆症のリスクファクターとなり得ることを示唆できる本研究は、歯科領域に留まらず、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー炎症の適正なコントロールが骨の恒常性を考える上でも重要であることを広く訴える一つの根拠となる。本課題では、アレルギーによる骨減少メカニズム解明に関わるサイトカインや脂質メディエーターについても調べることから、アレルギーと骨との関係へ新しい理解を発展させ、新たな観点からの治療ターゲットを見いだすことにも繋がると考える。
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