本研究では、ブラケット周囲エナメル質の脱灰という問題に対して、高い歯質浸透性を有し樹脂含浸層を形成することで知られている4-METAに、イオンリリース・リチャージ能および抗菌性を有するバイオアクティブガラスを添加することにより、高い石灰化誘導能 を有する4-META系コーテイング材料を開発することに加え、矯正臨床におけるブラケット周囲のエナメル質の脱灰や再石灰化挙動を評価するためのin vitroエナメル質再石灰化評価モデルの確立を行うことを目的として本研究を開始した。 試料の作製として本研究では、原料を溶液に溶かし、溶液段階で反応させ、比較的低温で焼くことができる液相法(ゾル・ゲル法)によってバイオアクティブガラス(SiO2:45 %、Na2O:24.5 %、CaO:24.5 %、P2O5:6 %)の粉末を作製した。バイオアクティブガラス含有接着材料には、歯質浸透性を有する4-META系のモノマーにバイオアクティブガラスを数種類の配合比で混和した。 バイオアクティブガラスを混合した粉末を、モノマー液およびキャタリストと混和し円盤状試料を作製後、試料を脱灰液(pH 4.5)に浸漬し、pHの経時的変化による緩衝能の分析を行った。また、1日および1週間蒸留水に浸漬後、ICP発光分光分析装置を用いて試作試料から溶出するイオンの測定を行った。 バイオアクティブガラスを4-META/MMA-TBBレジン系接着材料に添加することにより、エナメル質の脱灰抑制と再石灰化促進の効果が期待できる。
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