矯正治療時の歯の移動に伴う激しい疼痛は,有効な鎮痛手段がないのが現状である。そこで,本申請では,矯正装置の装着によって誘発される疼痛を定量評価でき,更に口腔内組織や侵害受容に関わる神経機構の変性を器質ならびに機能の両面から検討が可能な動物モデルの作成を行う。次いで,本モデルを用いて骨代謝に影響を及ぼさない疼痛緩和療法、鎮痛薬の検索をTRPV1受容体機構に着目して行う。本申請の研究は,矯正治療に伴う疼痛に苦しむ患者に対して効果的な鎮痛薬を一日でも早く提供するための研究である。 初年度,矯正装置の装着によって生じる疼痛と,歯周組織ならびに三叉神経節に生じる変性を定量評価することが可能なモデルを確立したため,最終年度は矯正治療に影響の少ない鎮痛薬の検討を行ため,疼痛の定量評価を移動歯への電気刺激で誘発される開口反射を指標とし,他歯への刺激結果と比較して行った。加えて歯根周囲組織への破骨細胞浸潤状態を疼痛の程度と併せて経時的に評価した。対合歯に生じる異所性疼痛の背景を検討する目的で,三叉神経節のグリア細胞の活性化状態も評価することで,矯正に伴う痛みの発現機構を多角的に検討可能な動物モデルを構築した。 現在、予定していたデータの取得はほぼ達成され、Neuroscience 2015で発表、現在論文投稿中。
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