研究課題/領域番号 |
26861803
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
梅木 大輔 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10514937)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 咀嚼筋 / 筋線維タイプ |
研究実績の概要 |
口腔機能の中心的役割を果たす咀嚼筋は四肢の骨格筋と同様に可塑性を有し、その表現型(筋線維サイズ、筋線維タイプ)や生理機能は様々な咬合の状態に適応することが知られている。しかしながら、骨格筋の適応機構の詳細は未だ不明な点が多く、また咀嚼筋でのこの種の研究は非常に少ない。これまで実験動物にラットを用いて咀嚼筋の適応現象を解析し、咬合状態の変化が咀嚼筋の表現型および生理機能に影響を及ぼすことを観察した。 本研究では、咬合状態の変化に対する咀嚼筋の適応現象、およびその誘発機構を解明することを目的とするため、実験動物にマウスを用いて咬合挙上モデルを作製する(mRNAおよびmiRNAの発現解析、機能解析を行うため、遺伝情報の豊富なマウスを実験動物に用いる)。 平成26年度はマウスの咬合挙上モデル作製を目標に実験を行ってきた。我々の作製したラットの咬合挙上モデルと同様に、下顎切歯に咬合挙上板を装着したマウスの咬合挙上モデルを作製し、予備実験にて咀嚼筋の適応現象が誘発されるモデルであることを確認する予定であった。ラットで用いた咬合挙上装置をマウス用に改良し、挙上は切歯で2㎜程、2週間の飼育にも耐えうることを確認できた。エサ、水の摂取量ともに問題がないことも確認できた。その後、本実験を行い、コントロール群と咬合挙上群の2群での飼育を行った。3、5、7、14日後にそれぞれ屠殺し咬筋、前脛骨筋、ヒラメ筋の摘出を行った。咬合挙上群で咬筋筋重量の増加が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで実験動物にラットを用いて咀嚼筋の適応現象を解析し、咬合状態の変化が咀嚼筋の表現型および生理機能に影響を及ぼすことを観察してきたが、本研究では遺伝情報の豊富なマウスを実験動物に用いることにした。まずラットで用いた装置をマウスに応用し、下顎切歯に咬合挙上装置を装着するタイプのマウスの咬合挙上モデルを作製した。この際予備実験にて咀嚼筋の適応現象が誘発されるモデルであることを確認することにした。しかし、2週間の飼育中に装置の破損や脱落が続いたこと、適切な咬合挙上量をどれぐらいに設定するかに時間がかかってしまった。そのため咬合挙上群で咬筋筋重量の増加が認められたところまで研究が進んでいる段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、咬合拳上がマウスの咬筋に与える影響を 1.(1)表現型(筋線維サイズ、筋線維数、筋線維タイプなど、(2)生理機能(筋活動量、発生張力、ATPase活性など)の両面から定量的に解析し、咬合拳上に対する咬筋の適応現象の詳細を明らかにする。2.咬筋の適応機構を分子レベルで解析する。具体的には、咬合拳上により(1)発現が誘発されるmiRNAの解析(マイクロアレイおよびリアルタイムPCRを用いる)、(2)活性化されるシグナル伝達経路の解析(Western blotting法や各種阻害薬を用いる)を行う。3.生理機能(筋活動量、収縮特性などを生理学的手法にて解析)の両面から定量的に解析する為、咬筋の筋電図(自由行動下で24時間測定)をテレメトリーシステムにて記録し、筋活動量(daily duty time)を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたよりも、咬合挙上装置の製作および設定に大幅な時間を費やしてしまった為、咬筋の適応機構を分子レベルで解析(ミオシン重鎖アイソフォームの発現量をmRNAレベルをリアルタイムPCR法にて解析およびタンパク質レベルをSDS-PAGE法で解析)し、咬合挙上後の咬筋における筋線維タイプの構成を解明する所まで進められなかった。そのため、これらに使用する試薬の購入を見合わせたため次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、咬合拳上がマウスの咬筋筋線維タイプに与える影響を 1.(1)ミオシン重鎖アイソフォームの発現量をmRNAレベルをリアルタイムPCR法にて解析、(2)タンパク質レベルをSDS-PAGE法で解析2.活性化されるシグナル伝達経路の解析(Western blotting法や各種阻害薬を用いる)2.咬筋の筋電図をテレメトリーシステムにて記録し、筋活動量を解析する。この際マウス用送信器が必要である。 以上の実験を予定している為それに使用する試薬、マウス用送信器の購入を予定している。
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