研究課題
本研究にて、歯科矯正治療による歯周組織の傷害と回復の分子調節機構の解明のため、GFPトランスジェニックマウス由来骨髄細胞の調製と骨髄細胞の移植をし、GFP骨髄細胞移植を行ったマウスを用いて歯牙牽引の初期組織変化、長期組織変化を観察するために歯科矯正学的牽引モデル動物の組織学的解析を行い、歯周組織を構成する細胞ならびに骨髄幹細胞の多分化能に関する研究を行ってきた。歯科矯正学的モデルマウスにおいても、歯科矯正学的歯の牽引時における歯周組織の変化では、歯科矯正力というメカニカルストレス負荷後の歯周組織におけるHSP47、HSP70をはじめとした各種タンパクの陽性反応を確認した。さらにそれぞれについてメカニカルストレス負荷時の発現動態を追求し、歯周組織の修復やホメオスタシス維持機構、骨の添加吸収の際に機能するシャペロンとしてのタンパクの振る舞いについて確認した。また骨髄幹細胞の歯牙構成細胞への分化能に関する研究ではGFPマウス骨髄細胞移植実験系において、骨髄幹細胞が歯および歯周組織構成細胞に分化することを確認した。歯科矯正学的牽引時の歯根膜組織に対するメカニカルストレス負荷の結果、積極的な歯根膜のリモデリングが行われている部位に骨髄幹細胞由来の同幹細胞の存在が確認され、これら一連の歯の牽引時における骨髄幹細胞の機能解明を行って、リモデリングの盛んな部位に骨髄幹細胞を供給することができれば、効率的な歯の移動が可能になると考えられる。すなわち骨髄幹細胞の誘導、歯周組織のリモデリング、組織修復の促進、効率的な治療の発案につながると考えている。今回行った一連の実験結果により、人為的に骨髄幹細胞を生体の特定箇所に供給できる可能性が強まった。本研究結果を吟味することで効率的に幹細胞を局所へ誘導し、歯周組織リモデリングや修復、および効率的な矯正学的歯の移動が可能になると考えられる。
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