研究課題
骨髄間葉系幹細胞(MSCs)は、自己増殖能・多分化能を有するため、組織再生療法に有用な細胞と考えられている。実際に、当研究室では歯周炎患者にたいして、患者自身から分離したMSCsをアテロコラーゲンゲルと混和し移植することである程度の組織再生を導くことに成功した。しかし、重度慢性辺縁性歯周炎や侵襲性歯周炎といったより大規模な組織破壊を呈する状態にはいまだ確実な治療法とはなっていない。その原因として、細胞を移植するために用いる理想的な人工足場材料が見つかっていないためと言える。すなわち、その人工足場材料が、移植できる細胞数を制限し、また細胞機能調節を困難にし、もしくは移植先で好ましくない炎症応答を惹起してしまうなどの欠点を有する。そこで、本研究では人工担体を用いず、MSCs自身が産生する細胞外基質を利用して移植可能な三次元人工細胞集塊Clumps of MSCs/ECM complex (C-MSC)を作成することに成功した。このC-MSCは細胞自身が産生したI型コラーゲンを主とするECMで形作られた直径1mmほどの細胞集塊であり、多分化能を保持しており、さらには足場材料を必要とせずに欠損部分に直接移植し細胞をとどまらせることが可能で、従来の人工担体を用いたMSCs移植方法と比較してより効果的に骨再生を示す。またin vitroにおいて石灰化誘導を施すことが可能で、この石灰化誘導されたC-MSCのラット大規模頭蓋冠骨欠損に対する移植が、劇的な骨再生を促進することを明らかにし、Cytotherapyに論文発表した。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Cytotherapy
巻: 7 ページ: 860-73
10.1016/j.jcyt.2015.01.007.