研究課題
CCL19-CCR7経路が肥満誘導性慢性炎症およびインスリン抵抗性の発症に及ぼす影響を明らかにするため、①CCL19およびその受容体CCR7の発現について、脂肪細胞および肥満・糖尿病モデルマウスを用いた検討、②Ccr7遺伝子欠損(KO)マウスにおける糖脂質代謝、組織中の炎症性細胞浸潤についての検討を行った。①の結果、I)脂肪細胞において、Lipopolysaccharide(LPS)、Tumor Necrosis Factor-α刺激時のCcl19遺伝子発現は増大したが、LPS刺激下でマクロファージと共培養した脂肪細胞での発現レベルには及ばなかった。II)肥満および糖尿病モデルマウスの血中CCL19濃度は野生型(WT)マウスと比べ有意な増大が認められた。III)高脂肪食(HFD)負荷WTマウスでは脂肪組織、肝臓におけるCcl19遺伝子発現、血中CCL19濃度の有意な増大を認めたが、Ccr7KOマウスではHFDによる影響はみられなかった。②の結果、I)Ccr7KOマウス肝臓ではWTに比べ、HFD誘導性のIRS-1リン酸化抑制の減弱がみられた。II)WTマウスではHFD誘導性の脂肪組織重量の増大、脂肪細胞の肥大化、肝組織中の脂肪蓄積を認め、さらに、脂肪組織中にCD11c陽性細胞を含む炎症性細胞性浸潤の亢進を認めたが、Ccr7KOマウスではいずれも通常食群と同程度であった。III)HFD負荷Ccr7KOマウスでは冷刺激下での直腸温が有意に高く、また、脂肪組織中のUCP-1遺伝子発現の有意な亢進がみられた。以上から、脂肪組織中のCCL19産生量の増大には、活性化マクロファージ、樹状細胞等の免疫担当細胞の誘導が関与していることが示され、CCL19-CCR7経路はエネルギー代謝の制御に関与し肥満誘導性慢性炎症、インスリン抵抗性に影響を及ぼす可能性が示唆された。
すべて 2015
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Obesity (Silver Spring)
巻: 23 ページ: 1460-1471
10.1002/oby.21127