研究課題/領域番号 |
26861820
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高森 明子 (藏本明子) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (30631478)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | attachment loss / 歯槽骨吸収 / 免疫複合体 / T細胞 |
研究実績の概要 |
1)LPSによる歯周炎誘発:ヌードラット(F344/NJcl-rnu/rnu)をLPSで免疫感作した。また、T細胞機能を維持しているラットとして、24匹のF344ラット(F344/NJcl-rnu/+)を使用した。ヌードラット、F344ラットをそれぞれ、T細胞欠損、歯周炎誘発の組み合わせによりT細胞欠損+炎症誘導群(N+I群)、T細胞欠損群(N群)、T細胞維持+炎症誘導群(T+I群)、対照群(Cont群)の4群に分けた。LPSのbooster投与の1日後、上顎左右第1臼歯口蓋側歯肉溝にLPS 懸濁液を1日当たり30分間滴下投与した。Cont群およびN群にはPBSを同様に滴下した。20回目の滴下の1時間後に各群のラットを屠殺して上顎骨を摘出し4%パラホルムアルデヒドにて固定した。10% EDTAにて脱灰したのちパラフィン包埋し、上顎第一臼歯の頬舌的な連続切片を作製した。 2)組織学的計測:HE染色を行った切片にて、セメントエナメル境(CEJ)から接合上皮の根面に接した歯冠側端までの距離をattachment lossとして計測した。また、CEJから歯槽骨頂部までの距離を歯槽骨レベルとして計測した。 破骨細胞の同定:TRAP染色を行った切片にて、歯槽骨頂部の骨面上に存在する多核のTRAP陽性細胞を、破骨細胞として計測した。 免疫組織化学的染色:①免疫複合体検出のために、免疫複合体に最初に結合する補体成分であるC1の免疫組織化学的染色を行い、その局在部位を観察した。 3)血清抗LPS IgG抗体レベル測定(ELISA法):免疫感作の状態を確認するため、眼窩下静脈叢から血液サンプルを採取した。血清中の抗LPS IgG抗体レベルを、各々の血清サンプルを用いてELISA法により測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は申請者にとってヌードラットを用いたT細胞に関する初めての研究であったため、研究開始当初はヌードラットの取り扱いやデータ解析で不慣れな点が多く、予想以上に時間を使ってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
免疫組織化学的染色:CD3を免疫組織化学的に染色し、T細胞の局在を確認する。T細胞による歯槽骨吸収促進メカニズムとして当講座では、T細胞が発現するCD40Lと破骨細胞前駆細胞に存在するレセプターのCD40を介した細胞間接触が破骨細胞形成を促進することを報告している(Yokoyama et al. J Periodontal Res 2011)。したがって、CD40Lと破骨細胞分化に重要な因子であるRANKLを免疫染色してその発現を確認する。申請者は、歯槽骨吸収を生じたラットの歯周組織ではCD3とCD40L陽性細胞が存在することを、予備実験にて確認している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は申請者にとってヌードラットを用いたT細胞に関する初めての研究であったため、研究開始当初はヌードラットの取り扱いやデータ解析で不慣れな点が多く、予想以上に時間を使ってしまった。そのため、次年度も研究を継続する必要が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
CD3、CD40L、RANKLを免疫組織化学的に染色するための抗体等試薬の購入に使用する。また得られた結果を基に日本歯周病学会第60回春季学術大会で発表する予定であるため、旅費として使用する。また論文を執筆する予定であるため、論文校正として使用する。
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