研究課題
1)LPSによる歯周炎誘発:ヌードラット(F344/NJcl-rnu/rnu)および T細胞機能を維持しているF344ラット(F344/NJcl-rnu/+)の腹腔内にLPSを投与して免疫感作ラットを作製した。免疫感作の状態は、眼窩下静脈叢から採取した血液サンプルを用いて、血清中の抗LPS IgG抗体レベルをELISA法で確認した。免疫感作後、イソフルラン麻酔下で上顎左右第一臼歯口蓋側歯肉溝にLPS懸濁液(50 μg/μl)を1日当たり30分間、滴下投与し、歯周炎を誘発させた。20日間滴下の1時間後に安楽死させた。上顎骨を摘出し4%パラホルムアルデヒドで固定し、10% EDTA-2Naにて脱灰したのちパラフィン包埋し、上顎第一臼歯の頬舌的な連続切片を作製した。2)組織学的計測:HE染色し、セメントエナメル境(CEJ)から接合上皮の根面に接した歯冠側端までの距離をattachment lossとして、CEJから歯槽骨頂部までの距離を歯槽骨レベルとして計測した。接合上皮内および接合上皮周囲の結合組織内の炎症性細胞数を計測した。3)破骨細胞の同定:TRAP染色を行い、歯槽骨頂部から500 μmの骨面上に存在する多核のTRAP陽性細胞を、破骨細胞として計測した。4)免疫組織化学的染色:①免疫複合体検出のために、免疫複合体に最初に結合する補体成分であるC1の免疫組織化学的染色を行い、その局在部位を観察した。また、抗原であるLPSの染色も行った。その結果、attachment lossおよび歯槽骨吸収は、野生型ラットと比較してT細胞が欠損しているヌードラットで有意に進行した。以上の結果を第59回秋季日本歯周病学会学術大会で発表し、現在、論文をJournal of Dental Sciencesに投稿中である。
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