研究課題/領域番号 |
26861824
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
神谷 洋介 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (70572808)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | IL-35 / サイトカイン / 骨代謝 |
研究実績の概要 |
新規サイトカインであるIL-35はTreg細胞から産生され、Th17細胞に対して抑制性サイトカインとして機能すると考えられている。しかしながら、骨代謝および歯周病病態におけるIL-35の役割は不明な点が多い。そこで今回研究代表者は、骨再生もしくは骨破壊への影響について、IL-35の役割を明らかにすることを目的とし、骨芽細胞および破骨細胞の分化、活性化における抑制効果やそれらに関わる伝達経路および調節因子の同定に関して検討することにした。 平成27年度までに、骨芽細胞(Kusa A-1細胞)に腫瘍壊死因子(TNF)-αで前処理後、リコンビナントIL-35(rIL-35)で刺激し、Real-time quantitative PCR(qPCR)法を用いて骨代謝に関連する遺伝子発現の測定を行った。結果、オステオカルシンと骨シアロタンパク(BSP)の遺伝子発現はrIL-35刺激で有意に増加した。また、IL-35刺激による石灰化能と細胞分化能を測定するため、アリザリンレッド染色とアルカリフォスファターゼ染色を行ったところ、rIL-35刺激と無刺激で有意な差を認めなかった。 平成28年度には、マクロファージ様細胞株RAW264.7(RAW)細胞を用い、RANKL刺激下でrIL-35を添加し破骨細胞形成への影響を検討した。破骨細胞分化マーカーの遺伝子発現をqPCR法にて測定し、TRAP染色にて多核の破骨細胞形成数を測定した。結果、破骨細胞分化マーカーであるMMP-9、Cathepsin K、およびTRAPの遺伝子発現はrIL-35濃度依存的に有意に増加し、多核の破骨細胞形成数もrIL-35濃度依存的に有意に増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
骨代謝におけるIL-35の役割を明らかとするために、骨芽細胞(Kusa A-1細胞)を用いて、IL-35刺激による石灰化能と細胞分化能を測定したが、rIL-35刺激と無刺激で有意な差を認めなかった。Kusa A-1細胞は石灰化能が非常に高く、一般的な骨芽細胞とは反応性が異なるためか、IL-35刺激に対する反応性が悪いと考えられた。したがって、石灰化能が異なる骨芽細胞(MC3T3E-1細胞)を用いて、再度、骨芽細胞の分化や活性化について検討を行ったため研究計画に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
RAW細胞を用いて、IL-35における破骨細胞の分化、活性化に関わる伝達経路および調節因子の同定に関して検討する。細胞内伝達経路を確認するため、p38, ERK, JNKなどのリン酸化レベルをウエスタンブロット法にて測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
IL-35における破骨細胞の分化、活性化に関わる伝達経路および調節因子の同定に関して検討を行うため、新たに試薬等が必要と考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
リコンビナントIL-35の試薬やウエスタンブロット法を行うための試薬の購入を計画しています。
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