前年度の質的研究結果から、中断患者に対する直接的な調査が極めて困難であることがわかった。よって間接的な調査としてweb上でのアンケート調査を本年度はこころみた。 スクリーニング調査:スクリーニングとして6606名の成人男女に歯科の受診状況について調査した。結果、5370名から回答を得て、57%が歯科の定期受診をおこなっており、31%が現在も中断していると回答した。その他は12%であった。 本調査:現在も歯科受診を中断している者831名(中断群)、定期的に歯科医院を受診している者832名に対して患者背景に関するアンケート調査をおこなった。調査内容は、前年度に実施した質的研究結果および我々が以前調査した長期に歯科を定期受診する者の質的研究結果をふまえ質問表を作成して患者背景を解明した。 結果:中断群442名、定期群445名より回答を得た。平均年齢、既婚率、子供の有無に関して両群に有意な差はなかった。中断理由について、最も多かったのは「症状がよくなった」46.6%であり、「仕事・学業で忙しかった」35.3%、「金銭的問題」16.5%、「転居した」15.8%の順であった。さらに、過去10年間において、歯科受診の中断回数は1-2回が74.7%、3-5回が15.4%、6回以上が10.0%であった。患者背景において、中断群では定期群に比べて、「健康的に生活を意識している」、「活動的に過ごしたいと思う」者が少なかった。さらに「スタッフに好感を持つ」、「家族ぐるみで受診しようと思う」、「きれい・優しい・すっきりするのイメージがある」といった者の割合も中断群は定期群に比べて少なかった。また、「怖い・痛い等のイメージがある」といった者は中断群の方が多かった。以上より、中断患者は、健康意識が低く、歯科に対してネガティブな感情を持つ者が多い可能性が示唆された。
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