研究課題/領域番号 |
26861828
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
米澤 大輔 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90711896)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | DMFS / う蝕予防効果 / フッ化物洗口経験 / 初期成年期 |
研究実績の概要 |
初期成年期(18~25歳)および成年期(25~60歳)の年代における歯の喪失リスクに関する要因分析、および歯科疾患予防プログラムの検討を行うため、初期成年期として「大学新入生歯科健診」の歯科保健データ、および妊産婦期歯科健診において夫婦共に歯科健診を実施している「ペア健診」の歯科保健データを用いて分析を行うことで、この年代における歯科疾患リスクに関する要因分析を行い、介入可能な要因を特定することを目的としている。 平成26年度の研究実施計画として、初期成年期における歯科疾患リスクの要因分析を行うために、「大学新入生歯科健診」において、歯科健診と質問紙調査を行った。大学新入生歯科健診では、新入生約3000人を対象に、全員に歯科健診を行っている。ランダムに選んだ対象者の中から、同意を得られた154名に対して、最新のWHO成人歯科健診フォームを使用し、歯面単位でのDMFの健診を行った。また、質問紙法により、現在の歯科保健行動についてや、過去のフッ化物洗口経験について調査を行った。 18~20歳の年代でも、幼稚園(保育園)~中学校までの間にフッ化物洗口を過去に経験したことのある群では、1度もフッ化物洗口を経験したことがない群よりもう蝕罹患率が低かった。その差は統計学的に有意であった。また、歯面単位でみると、フッ化物洗口経験群では、フッ化物洗口未経験群よりも各歯面単位ですべて有意にう蝕罹患率が低かったが、咬合面う蝕(減少率37.2%)より歯間隣接面う蝕(減少率76.0%)でより有意に低かった。これらのことより、う蝕が減少してきている世代であっても、フッ化物洗口経験が有効なう蝕予防手段であることを示唆している。
今後、成年期の調査として、妊産婦期歯科健診を予定していたが、成人健診センターにおける歯科疾患情報と全身疾患情報とを得られる予定であるため、そちらで解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度中の計画では、「大学新入生歯科健診」の機会において、歯科健診と質問紙調査を行い、解析を行うとしていた。当初の予定通りに研究を実施し、学会での発表を2度行っている。来年度以降は、調査対象者数を増やすため、再度新入生歯科健診を実施する予定である。 しかしながら、来年度予定していた成年期における歯科疾患のリスク調査のための妊産婦健診における「ペア健診」の調査については、来年度は実施しない予定である。しかし代わりに、成年期の歯科疾患リスクを調べるために、歯科疾患情報の存在する成人健診センターとの共同研究が始まっている。今後、成人の全身疾患と歯科疾患リスクとの関連について検証していき、当初の予定通り成年期における歯科疾患リスクに関する要因分析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度中に行った、「大学新入生歯科健診」の解析結果より、対象者数が単年では十分とは言えなかったため、平成27年度も同様に調査を実施し、対象者数の増加を図る。 また、成年期における歯科疾患リスクの要因解析のため、成人健診センターにおける全健診者の歯科疾患情報が存在するため、長期予後を追跡可能な対象者から、全身疾患と歯科疾患リスクとの関連について、要因分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の予算内で、国際学会発表費が不足していたため、前倒し支払請求を行ったが、すべてを使用しなかったため、次年度へ繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通り、調査に必要な物品購入、また、研究成果発表のために使用する。
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