研究課題/領域番号 |
26861832
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古田 美智子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20509591)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯周病 / 性差 / 成人 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、福岡県の久山町生活習慣病予防健診で、50歳~60歳の久山町住民を対象に歯科健診を実施し、420人(男性169人、女性251人)が受診した。 久山町住民の口腔健康状態として、現在歯数、う蝕経験状態、歯周組織状態を評価した。歯周組織状態は対象者全員に対して、米国国民健康栄養調査IIIの方法で評価し、50、60歳の75人に対し、Community Periodontal Index(CPI)で評価した。 現在歯数は、25.6±3.7歯(平均値±標準偏差)で、20歯以上保有している者は男性88.2%、女性96.8%で、男性に比べ女性のほうが残存歯数は多かった(p <0.001)。未処置歯を保有している者は男性33.1%、女性17.1%と、女性のほうが未処置歯を持っている者は少なかった(p <0.001)。平成23年度の歯科疾患実態調査(全国調査)と比較すると、全国の50歳代では未処置歯保有者率は35.0%であったのに対し、久山町住民は23.6%と低かった。歯周組織状態では、米国国民健康栄養調査IIIの方法として、全歯の頬側近心・中央の歯周ポケットを測定した場合、歯周ポケット深さ4mm以上を少なくとも1歯以上保有していた者は男性で35.5%、女性で15.5%と性差が認められた(p <0.001)。また、CPIで評価した場合、CPIコード3以上(歯周ポケット深さ4mm以上)を保有していた者は男性53.1%、女性27.9%であった(p = 0.027)。全国調査と比較すると、全国の50歳代ではCPIコード3以上の保有者は41.1%であり、久山町住民は38.7%で全国と同程度であった。 平成26年度の歯科健診の結果から口腔健康状態には性差が認められた。平成27年度は60歳代に対し歯科健診を行い、可能であれば抗酸化物質の測定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度に歯科健診を実施し、歯周病の評価はできているが、全身状態のデータを頂いていないため、メタボリックシンドロームと歯周病の関係を検討できていない。また、抗酸化物質の測定を行っておらず、歯周病との関連を評価していない。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は60歳代を対象に歯科健診を実施し、対象人数を増やす。また、全身のデータを頂けた場合は、メタボリックシンドロームと歯周病の関係を評価する。凍結血清試料を用いて、抗酸化物質のパラオキソナーゼ活性とアリルエステラーゼ活性を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は歯科健診を実施したが、抗酸化物質の解析ができていないため、当該助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は抗酸化物質の測定と、歯周病とメタボリックシンドロームの関係の性差について分析を行う。
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