平成29年度は凍結血清試料を用いて、抗酸化物質のパラオキソナーゼ活性とアリルエステラーゼ活性を測定した。歯周病と抗酸化物質の関係を調べるにあたり、3年間の歯周病の変化に注目し、ベースライン時および3年目の歯周病の重症度におけるベースライン時の抗酸化物質の活性度を評価した。ベースライン時および3年目の歯周病の重症度では、3年目に歯周病が悪化した群(悪化群:27人)、ベースライン時および3年目ともに歯周病の重症度を維持していた群(維持群:42人)、ベースライン時および3年目ともに歯周病がなかった群(健康群:69人[悪化群と維持群を合わせた人数になるように、性別と喫煙でマッチングして抽出した。])の3群に分けた。また、パラオキソナーゼ活性とアリルエステラーゼ活性の高さで、RR型、RQ型、QQ型の遺伝子多型を推定できるが、本対象者では、RR型64人、RQ型63人、QQ型11人となった。統計解析の結果、歯周病の変化とパラオキソナーゼ活性、アリルエステラーゼ活性は相関が認められなかった。パラオキソナーゼ活性は喫煙状況と関連が認められ、現在喫煙者に比べ非喫煙者のほうがパラオキソナーゼの活性が高かった。歯周病との関連では、健康群ではパラオキソナーゼ活性と喫煙状況に関連が認められたが、悪化群や維持群では関連が認められなかった。喫煙状況には性差があり、女性に比べ男性のほうが喫煙者は多い。男女に層別化して解析したところ、男性においては健康群ではパラオキソナーゼ活性と喫煙状況に関連が認められたが、女性では関連が認められなかった。これは、歯周病、パラオキソナーゼ活性と喫煙状況の関係に性差があることが示唆される。
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