研究課題/領域番号 |
26861834
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
田野 ルミ 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (20433170)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯科 / 口臭 / 唾液 / 禁煙支援 |
研究実績の概要 |
禁煙支援の効果的な方策の検討を行うため、喫煙者と非喫煙者における口腔領域の代表的な指標である口臭と唾液について比較した。喫煙は、全身のみならず口腔疾患との関連性も明らかとなっていることから、喫煙が及ぼす影響を科学的根拠として示すことは、喫煙対策の推進に寄与し得る。 関東圏の歯科医院6件を協力施設とし、研究に同意が得られた受診者約100名を対象とした。分析は、喫煙者群と非喫煙者群の差について有意性検定を行った。本調査研究により、喫煙者と非喫煙者との間に、呼気の臭気成分および唾液の性状に統計学的に有意な差があることが明確になった。具体的には、口臭の主要な臭気成分3種の揮発性硫黄化合物を測定器機を使用して濃度を検出したところ、硫化水素およびジメチルサルファイドが、喫煙者のほうが非喫煙者に比べて濃度が高かった。また、唾液については計測機器を用いて、唾液分泌速度、唾液pH、酸負荷後pH、口腔内湿潤度を検出した。その結果、喫煙者のほうが非喫煙者に比べて、唾液分泌量が少なく、唾液pHと酸負荷後pHが低値で、口腔乾燥状態であることが示された。 これらの客観的指標に基づいた喫煙者と非喫煙者の比較分析の検証より、喫煙が臭気や唾液に影響を及ぼす可能性が示唆された。 本研究の成果は、喫煙に伴う口腔領域の変化を示す資料として有用な資料となると期待できる。さらに、禁煙治療や禁煙支援において、喫煙者の動機づけや禁煙達成、禁煙継続に貢献し得ると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究課題である「禁煙が口臭と唾液にどのように変化をもたらすか」を検証するにあたり、予備調査として、口臭と唾液に着目して測定値の比較によって喫煙者と非喫煙者との間に差があることが明確になったため。
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今後の研究の推進方策 |
喫煙者が禁煙ないしは減煙することで、口臭および唾液の測定値にどのような変化がみられるかを、経時的な調査研究によって明らかにすること。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会での研究成果発表を行うことが行えなくなったため
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に国際学会への発表および論文投稿を予定する
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