総合病院の禁煙外来受診者を対象に、禁煙治療による禁煙に伴う口腔の変化を自記式質問票および口腔内測定を用いて追跡調査にて検証した。自記式質問票は、喫煙に関する主観的評価を測定し、口腔内測定の項目は、口腔内写真撮影、口臭測定、唾液量・唾液pH、口腔機能として舌圧、構音機能として発語回数、口腔内細菌数として齲蝕関連細菌4種・歯周病原細菌3種の菌数を測定した。調査期間は、禁煙治療開始時を初回とし、初診から4週、初診から8週、初診から12週の合計4回の測定を行った。調査者は、医師、看護師、歯科衛生士が担当し、データ解析を行う研究機関とデータ収集をする医療機関の双方の倫理審査委員会の許可を得たうえで調査を実施した。また、対象者からは同意を書面で得たうえで調査を開始した。その結果、研究対象者は男性1名、女性1名の合計2名だった。2名について、3カ月の調査期間における4回の測定日に全調査項目の測定を行い、禁煙治療開始から禁煙は継続され、最終調査日まで再喫煙はなかった。調査結果は、禁煙に伴い主観的な評価および客観的な評価ともに、より望ましい口腔内環境に変化した傾向がみられた。特に、口腔内写真による口唇や舌の色調変化は改善がみられ、口腔領域を重視した禁煙支援の有効性と、禁煙に伴う口腔関連指標への影響が大きい可能性が示唆された。本研究を基盤とし、より調査期間を拡大し、対象者を増やした発展研究が期待できる。
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