本研究の目的は、EBD教育効果測定尺度を開発し、日本で先駆けてEBD教育を行い、国際比較することである。平成26年度にはEBD教育効果測定尺度を開発した。平成27年度はEBD教育プログラムを実施し、米国の先行研究の結果を用いて国際比較を実施した。その結果の概要を以下に示す。1)EBDの意義:「エビデンスに基づく診療により歯科診療の質は向上すると思うか」の質問に対して「そう思う」と回答した者の割合は90%(米国88%)であった。2)EBD教育の重要性の認識:「EBD教育 は歯学部のカリキュラムに不可欠である」と答えた者の割合は80%(米国93%)、「EBD教育は大学院博士課程のカリキュラムに不可欠である」と答えた者の割合は90%であった。3)EBDの経験:「結論を導き出すために学術文献のエビデンスを使用したことがある」という質問に対して「経験がある」と回答した者は70%(米国92%)であった。4)自信:対象者のEBDの教育項目に対する自信について評価したところ、「自信がある」と答えた者の割合は「研究デザインの適切性」で70%(米国76%)、「研究デザインにおけるバイアスの原因」で60%(米国74%)、「対象症例数の妥当性」で60%(米国76%)、「結果の一般化可能性」で70%(米国88%)、「統計的検定の適切な使用」で60%(米国46%)、「研究報告の総合的な価値」で90%(米国86%)であった。5)態度:「一年前より今の方が、EBDの原則を支持する」と答えた者の割合は100%(米国72%)であった。6)批判的吟味:「EBDに関する批判的吟味の技能によって臨床系論文の読み方が変わった」と答えた者の割合は80%(米国69%)であった。 以上の結果から、日米での大きな違いは認められず、EBD教育は我が国の歯学教育においても学生に求められる重要な教育内容であることが示唆された。
|