研究課題/領域番号 |
26861839
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
渡邊 賢礼 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20611180)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超音波エコー / 摂食嚥下 / 咀嚼 / 舌 / 同時解析 |
研究実績の概要 |
平成26年度は咀嚼時舌運動を描出するため,周波数は過去の報告と同様の5.0MHzとし若年健康成人7名に対し顎下部(下顎第2小臼歯遠心と下顎第一大臼歯近心下)にコンベックス型探触子を設置し,咀嚼時前額断面(Y断面)における舌両側側縁と矢状断面(X断面)における舌正中部の陥凹形成を鮮明に描出できかを探索した. いずれの被験者においても4次元構築画像では探触子内部でのsweeping速度を最大としても舌運動速度に劣ってしまい静止時の解析は可能であるも運動時の解析は不可能であった.以上の結果より全被験者に対し4次元構築画像描出を行わず(sweepingさせない状態で)X断面,Y断面を同時に描出させると舌矢状断・前額断のタイムラグのない同時描出を行うことが可能であった. 上記方法によりコンビーフを用いた咀嚼を左右いずれか被験者が任意に決定した側で行わせると,最大舌移動距離は作業側では安静時より平均値で下方へ13.2mm,上方へ2.3mm移動しており,非作業側においては下方へ2.1mm,上方へ1.6mm移動していた.また正中部の陥凹の平均最大深度は13.6mmであった. 以上の結果より咀嚼時舌運動において作業側では上下運動幅の差が大きく特に下方への移動量が多い事が分かった.また非作業側では上下の運動範囲の差がほぼ無く作業側と比較すると運動範囲も有意に狭かった. 今年度は咀嚼時のおける矢状面,前額断面における舌運動を同時比較することが可能となり,これまで1断面での評価のみであった咀嚼運動時の2断面同時評価が可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4次元構築画像において咀嚼時舌運動の速度に対して立体画像構築が追いつけないため4次元構築画像上での解析は断念したものの,3軸それぞれの解析を実施できることを見出し描出画像からX,Y断面での同時解析を実施できたことで研究計画に沿った描出を行うことができたことは評価できる. しかしZ断面での評価基準設定を行えておらず,更に他の被験食や咬合様式,咬合力等による影響まで含めた評価が今後の課題となる.
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今後の研究の推進方策 |
エコーウインドウの設定は今年度同様とし,可変角度調節可能なスプリング付 き探触子固定装置を用いて一定の位置で画像描出が行える様にする必要がある.また被験食の違いや摂取量の違いによる舌運動動態の変化の有無の検討を行う予定である.更に解析も現状設定している下顎第2小臼歯遠心と下顎第一大臼歯近心付近のみならず他の位置での設定も検討していきたい.また健常高齢者に対しても舌運動の差異があるかを兼用する必要があるため,被験者年齢群を高齢者群に設定し若年成人との比較を行う予定である. 前年の研究成果と併せ咀嚼時の舌運動の多断面同時解析結果を学会発表や論文投稿を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
解析用超音波エコーの探触子については現有のコンベックスタイプでの描出が問題無く実施できたことから今年度の新規の探触子購入の必要性がなくなった.しかし高齢者群のデータ採取の際は,ポータブルタイプの超音波エコーが必要となる可能性もあるため,次年度に計上した.
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は健常若年成人に対し咀嚼時舌運動の多断面同時解析を実施した.本研究にて使用した超音波エコーは据置き式であり,健康高齢者とは言え、次年度に予定している被験者を研究施設へ搬送することは難しいと考えられる.その際の 舌動態解析には今年度と同様の機能(4D画像構築可能)の持ち運び可能な超音波エコーが必要になるため、次年度にはそれらの研究遂 行に必要な備品を計上する.たデータ採取上に必ず必要な消耗品である超音波エコー用ジェルパッド、超音波エコー用ジェル、更に は容量の大きな画像保存のための画像保存用HDD、動作解析ソフト(HULINKS社製、i-Slution)や研究成果発表のための国内・国外学系 への参加経費を引き続き計上した.またボランティアを被験者とするため、交通費を含めた若干の謝金を用意する予定である.
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