研究課題/領域番号 |
26861846
|
研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
角田 衣理加 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (30585469)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 歯原性菌血症 / 動脈硬化 / 3Dプリンタ(CAD/CAM) |
研究実績の概要 |
う蝕と歯周病のハイリスク者は、歯原性菌血症を日常的に起こしているため、動脈硬化を惹起し、ゆえに高血圧のリスクであると捉えられはじめた。本研究では、歯原性菌血症の原因となる口腔細菌を3Dプリンタ(CAD/CAM)にて作製したオーダーメイド歯ブラシを用いて抑制し、菌血症予防ができるかどうかを検討することを目的としている。 平成26年度は、1) 歯原性菌血症診断マーカーの模索、2) 3Dプリンタを応用したオーダーメイド歯ブラシ作製システムの構築、3)3DS除菌療法およびオーダーメイド歯ブラシの動脈硬化予防効果について検討を進めてきた。 1) 歯原性菌血症診断マーカーの模索は、歯原性菌血症の診断マーカーとして、有望と考えられる唾液中エンドトキシンについて、臨床被験者を募り、インフォームドコンセントを得た上で、データ収集を行ってきた。 2) 3Dプリンタを応用したオーダーメイド歯ブラシ作製システムの構築については、通法により印象採得した歯列石膏模型データを3D情報に置き換え、その模型に合せたオーダーメイド歯ブラシをCAD/CAMソフトにて設計し、3Dプリンタ(CAD/CAM)による出力を行った。 3) 3DS除菌療法の動脈硬化予防効果の検討については、臨床被験者を鶴見大学歯学部附属病院3DS除菌外来にて募り、インフォームドコンセントを得た上で、3DS除菌療法を実施し、データ収集を行ってきた。その結果、オーダーメイドトレーを用いた3DS除菌により、口腔細菌数の減少、血圧の改善がみられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、1) 歯原性菌血症診断マーカーの模索、2) 3Dプリンタを応用したオーダーメイド歯ブラシ作製システムの構築、3)3DS除菌療法およびオーダーメイド歯ブラシの動脈硬化予防効果について検討を進めてきた。1)のため、本研究に同意の得られた被験者より微生物学的検査、生化学的検査等を実施してきた。その結果、歯石除去前後に上腕から採取した血液中エンドトキシン量は一般生化学検査による測定法では検出限界(1.0 pg/ml)以下となることがわかった。2) 3Dプリンタを応用したオーダーメイド歯ブラシ作製システムの構築については、通法により印象採得した歯列石膏模型データを3D情報に置き換え、その模型に合せたオーダーメイド歯ブラシをCAD/CAMソフトにて設計し、3Dプリンタ(CAD/CAM)による出力を行った。3)のため、本研究に同意の得られた被験者より微生物学的検査、動脈硬化度検査等を実施してきた。分析の結果、除菌療法後に口腔細菌数と血圧に改善の傾向が認められた。本結果については、第64回日本口腔衛生学会にて発表する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、1)は、歯原性菌血症診断マーカーの候補を検討するため、臨床データをさらに収集し、データ分析を実施する。平成26年度の検討では、上腕から採取した血液中エンドトキシン量が一般生化学検査による測定法では検出限界(1.0 pg/ml)以下となることがわかったため、新たに歯原性菌血症診断マーカーとなる候補を選出する必要があると考えられる。2)については、平成26年度に作製した試作オーダーメイド歯ブラシの材質、設計について改良を実施し、臨床応用可能なものにブラッシュアップする。3)ついては、臨床データのさらなる収集およびデータ分析を実施し、3DS除菌療法およびオーダーメイド歯ブラシによる口腔細菌のコントロールを行うことが動脈硬化予防に対し、有益かどうかを検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
臨床研究被験者が平成26年度の予定数を下回ったため、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に引き続き、本年度も歯原性菌血症診断マーカーの模索、3DS除菌療法の動脈硬化予防効果の検討のため、さらに臨床サンプルの採取を継続する。
|