本研究は電子メディアが交代制勤務に従事する看護師の睡眠および疲労回復機能へ与える影響を明らかにすることを目的とした。平成26年度は電子メディアの視聴と睡眠、疲労状態の実態調査を実施し、平成28年度はランダム化比較試験で就寝前の電子メディア視聴制限の介入研究を行い、睡眠および疲労への影響を検証した。介入研究の成果は平成29年12月の第37回日本看護科学学会学術集会および平成29年8月の第43回日本看護研究学会学術集会で発表をした。 介入研究では二交代制勤務の看護師20名を、就寝前の電子メディアの視聴の有無による2群に割り付けた。測定は自律神経機能をユメディカ製加速度脈波測定機器アルテットC、睡眠活動リズムをA.M.I製マイクロ・モーションロガーアクチグラフ、主観的指標を睡眠満足度、睡眠時間、疲労度、気分状態を用いて夜勤前後を含む3日間調査を行った。 その結果、2群間で自律神経機能、睡眠・疲労状態に有意差はみられなかった。一方、電子メディア視聴無群は健康度や活気が低下し、疲労状態が増大する傾向があり、電子メディアの視聴ができないことが心身へ影響をもたらしている可能性が考えられた。また、就寝前の電子メディア視聴有群では睡眠、疲労への明らかな影響は認められなかった。本調査の対象の看護師は職務上心身の高い疲労が持続的に存在することが想定され、睡眠や休息の必要性や欲求がもともと高く、就寝前に電子メディアを視聴してもさほど支障なく睡眠をとれていたことが推測された。しかし、平成26年度の実態調査では普段1日での携帯電話やスマートフォンの視聴時間が長い場合に寝つきの時間への影響が確認されたことから、電子メディアの視聴が交代制勤務に従事する看護師の睡眠に影響を与えないとはいいきれない。今後も対象数を増やし介入研究での検証を継続していくことが必要と考える。
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