研究実績の概要 |
平成28年度は看護師の倫理的感受性尺度の開発に着手するにあたり、申請者が作成した日本語版MSQの9項目について改めて分析を行い多角的に検討した。また、開発する尺度の概念枠組みの設定および質問項目案について検討した。 1.日本語版MSQ(尺度)の因子構造の確認と検討 申請者が作成した日本語版MSQの9項目について、まず項目分析により尺度項目を精選した。項目分析では、天井効果およびフロア効果を示す項目はみられなかった。I-T相関において相関係数が低い1項目について、質問の意味内容を検討し、9項目から削除した。次に、構成概念妥当性を検討するため、日本語版MSQの9項目から1項目を除いた8項目について、探索的因子分析により因子構造を確認した。その結果、第1因子は項目1,2,7、第2因子は項目4,8,9、第3因子は項目3,5からなる因子構造であり、3因子の累積寄与率は65.2%であることが確認された。尺度の信頼性の検討では、内的整合性についてCronbackのα係数を算出し、併せて折半法による確認を行った。Cronbackのα係数は尺度全体(8項目)で0.82であり、一定の内的整合性が確認された。一方、因子構造はオリジナルの尺度と異なる結果となり、構成因子として的確に抽出することができず、質問項目の意味内容を再度検討し、精選する必要があることが確認された。 2.開発する尺度の概念枠組みの設定 因子分析の結果、オリジナルの尺度と因子構造が異なるため、再度下位尺度について項目の意味内容の解釈を行い、尺度の仮説枠組みを、「倫理的責任」、「倫理的判断」、「倫理的気づき」として構成することとした。現在、仮説枠組みに従い、先行文献を検討し、項目リストを作成中である。今後は、新たに作成した看護師の倫理的感受性尺度について、質問内容や表現方法が妥当であるか、尺度の内容妥当性を検討する。
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