【目的】本研究は、基礎看護学教育における医療安全教育の一環として、学生の危険予測能力および対応力を育成するための教育ツールの改良および実用可能性に関する検証を目的としている。平成29年度は、平成28年度までに行った予備実験をもとに、再度実験を行い、提示画像および解説機能の確認および効果に関する検証を行った。 【内容】教育プログラムに関する検討は、看護学生2年生と4年生の計20名を対象として行った。実験器材はiPadを用いた。提示画像は日本医療機能評価機構が公開している重要事例情報をもとに5場面の静止画像を作成し提示した。実験手順は、提示画像を約20秒間提示し、危険と感じた場所をできるだけ早くタッチしてもらった後、タッチした理由と発見後の対処法について自由記述をもとめた。その後、2日間、iPadを貸出し、自由な時間にトレーニングをしてもらった。3日後、類似の静止画像を用い、同様に実験を行い、ハザードおよびリスク知覚、対応方法に関する前後比較を行った。結果、多くの被験者が向上していた。また、プログラムの内容、操作性、解説機能については良好な回答が得られた。 なお、ICTを活用した医療安全教育教材の認知度や活用体験については未だ低かった。また、教材としては静止画だけではなく動画を用いたり、クイズ形式(選択問題)にしたりするなどの工夫を期待する意見があった。また、医療施設における事例だけではなく、在宅医療にも対応できる内容を希望する意見もあった。今後、プログラムの内容についてはさらなる検討が必要である。
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