研究課題/領域番号 |
26861860
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
槇原 弘子 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 嘱託員 (00708696)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肥満 / 皮膚障害 / 脂肪細胞 / Gallic acid / 食事療法 |
研究実績の概要 |
肥満はメタボリックシンドロームなど様々な疾患の原因として、その予防および治療に関する研究が世界的な規模で取り組まれている。一方で、乾癬などの慢性皮膚疾患の発症や皮膚の炎症などの皮膚障害が肥満者に多く発症しており、褥瘡有病率の増加、創傷治癒の遅延なども報告されている。しかしながら、肥満における皮膚障害に関して、その発症メカニズムや予防ケア方法に関する研究報告は非常に少ない。近年、肥満モデルマウスを用いた研究により、肥満の皮膚において皮下脂肪組織からの直接的な影響や酸化ストレスの関与が報告されている。そこで本研究では様々な植物に含まれるポリフェノールの一種であり、強い抗酸化作用など多様な薬理作用をもつGallic acid(GA)を研究素材とした。 昨年度までに、肥満モデルマウスを使用したin vivo試験において、GAは脂肪組織の増加および脂肪細胞の肥大化を抑制する効果を示すことを報告した。本年度は、GAを経口摂取した肥満モデルマウスの背部皮膚組織を使用し、これまで肥満モデルマウスで減少することが認められている、膠原線維および弾性線維成分のmRNA発現量を解析した。その結果、collagenおよびtropoelastinのmRNA発現において改善傾向が認められたが、有意ではなく、GAは脂肪組織に対し、より特異的に働くことが示唆された。今後、皮下脂肪組織を使用し、局所的な遺伝子発現の変動を解析する予定である。また詳細な作用メカニズムの解明を目的とし、マウス由来前駆脂肪細胞3T3-L1細胞に対するGAの効果を検討し、脂肪細胞分化促進作用とそのメカニズムに関して解析を行った。今後、in vivo実験系の結果と合わせて、GAの皮下脂肪組織への効果を解明していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に、所属研究室の異動に伴う実験開始の遅れと、実験計画の見直しによる試験期間の延長を行ったため、やや遅れた状況にある。皮膚組織の組織学的解析および遺伝子発現解析まで終了しており、その結果からGAの脂肪細胞での作用が示唆された。そのため、今年度は皮下脂肪組織を使用した遺伝子発現解析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
GAは脂肪組織により特異的に効果を示すことが示唆されたため、皮下脂肪組織を使用し、局所的な遺伝子発現の変動を解析する。in vitro実験系で得られた結果と合わせて、GAの皮下脂肪組織への効果を明らかにし、肥満による皮膚障害に対する有効性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に、所属研究室の異動に伴う実験開始の遅れと、実験計画の見直しによる試験期間の延長があり、研究の進捗状況はやや遅れており、400,000円の繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度繰越金は、皮下脂肪組織を使用した、GAの局所的な作用の解析に使用予定である。また、本研究で得られた成果を、学会発表等で公表するための出張旅費や、論文投稿の際の英文校正および雑誌投稿料などに使用する。
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