研究課題/領域番号 |
26861868
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
明野 伸次 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (40364260)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看護技術 / 手 / 安楽 / タッチ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日常的な看護行為における熟練した手の使い方を「手指・手掌の使っている部分と順序」および「接触部位にかかる強さ」から可視化し、患者役の「主観的評価」と「生理的評価」で検証することである。 平成26年度は、体位変換を受けた患者役の生理的評価を測定する実験を行った。 看護師役は19名で、患者役1名に仰臥位から側臥位の体位変換を実施した。生理的評価には、無線式耳朶脈波計測システム(TAOS研究所 Vital Meter)を用いて、患者役の耳朶脈波から、低周波成分(low frequency 以下LF)と、高周波成分(high frequency 以下HF)を測定した。体位変換実施前、実施中、実施後の3区間を経時的に測定し、HFを副交感神経活動、LFとHFの比(以下LF/HFとする)を交感神経活動とした。生理的評価の分析は、看護師役を、患者役の主観的評価の高い群(A群)と低い群(B群)に分け、2群のHFおよびLF/HFを比較した。結果、統計的な差は認められなかったが、両群ともに実施前と実施中では、HFは低下し、LF/HFは上昇した。また、実施前と実施後では、A群のLF/HFは低下し、B群のLF/HFは上昇した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、体位変換技術を受けた対象者の生理的評価を測定する実験を行った。 本研究の目的である、日常的な看護行為における熟練した手の使い方を、患者役の「主観的評価」と「生理的評価」で検証可能かどうかプレテストを行った。結果、生理的評価に統計的な差は認められなかったが、体位変換を受ける患者役の交感神経活動と副交感神経活動から熟練した手の使い方を検証できる可能性が示唆された。 今後は、体位変換時における看護師役の「手指・手掌の使っている部分と順序」および「接触部位にかかる強さ」と主観的・生理的評価の関連を検討する必要があるが、実験のプロトコルは概ね妥当だと判断できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、看護師と学生を看護師役として各20名程度のデータ収集を行う。また、体位変換時における看護師役の「手指・手掌の使っている部分と順序」および「接触部位にかかる強さ」と主観的・生理的評価の関連を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月末にデータ収集した際の人件費の支出手続きが4月になってしまったために残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
実験による研究補助謝金と研究協力者謝金が大部分を占める予定である。
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