研究課題/領域番号 |
26861869
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研究機関 | 茨城キリスト教大学 |
研究代表者 |
金子 健太郎 茨城キリスト教大学, 看護学部, 助教 (40714358)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Slow Breathing Exercise / 副交感神経活動リザーブ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は深くゆっくりとした呼吸活動を毎日繰り返して実施する方法「Slow Breathing Exercise:SBE」が副交感神経活動リザーブを高めるかを明らかにすることである。研究実施計画は、はじめに若年健常男性を対象とした基礎的研究として、SBEの継続効果を自律神経活動指標と循環動態(とくに末梢循環指標)により評価する。さらに、それらの結果をもとに自律神経活動に変調をきたしている心臓血管系の疾患や糖代謝異常、脂質代謝異常症などの慢性疾患患者を対象に、SBEが彼らの症状改善の一助となるか臨床効果の検討を行う。いずれもSBEの実施は通常4週間(約1か月間)を予定している。4週間のSBE前後における測定指標の比較を行うことで、SBEが副交感神経活動リザーブを高めるかどうかを評価する。 これまでの研究成果として、2014年度は研究計画のとおり若年健常男性を対象としたSBEの継続効果を測定した。研究施設の許可および研究対象者の許諾を得る手続きに関しては研究計画のとおりに実施した。研究対象者のなかには、対象者自身で4週間継続することが困難であると判断し研究参加を辞退する場合が1症例のみあったが、それ以外の点においては測定全般において問題はなかった。これらの結果はSBEの臨床効果を検討するうえで基礎的研究として位置づいており、現在関連学会誌への投稿準備をすすめている。 また、有疾患患者を対象としたSBEの臨床効果を検討していくために、その研究協力施設の選定をし決定した。現在、今後の研究活動を実施するために病院スタッフとの調整を行っている段階である。 来年度以降は上述した臨床効果の検討を実施していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究計画は「基礎疾患のない若年健常男性を対象としたSBEの効果の検討」および「研究協力機関の選定」であったが、いずれも順調にすすめることができたため。臨床効果を検討することについては、研究協力機関における倫理審査委員会の承認も得ている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画の推進に関して、基本的な研究計画の変更はない。今後「慢性疾患患者を対象としたSBEの臨床効果」を検討するうえで、平成27年度は以下の点を重要な推進方策とする。 1. 慢性疾患患者の安静時の生理学的指標の測定 慢性疾患患者に対するSBEの有効基準を設定するため、安静時における生理学的指標を測定し、副交感神経活動リザーブと病態の重症度の関連を検討する。研究対象者は外来通院している慢性疾患患者を予定しているが、疾患や病態、重症度、治療状況などについては主治医と相談し、主治医が研究対象者として妥当であると判断したうえで決定する。測定方法や指標は若年健常男性を対象としたものと同一とする。 2. 慢性疾患患者の副交感神経活動リザーブと病態との関連因子の探索 上述した研究結果と基礎疾患のない若年健常男性を対象としたSBEの効果の結果をもとに、SBEによる積極的看護介入方法が適応可能であると考えられる対象者の基準を決定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費については、心拍変動解析プログラムの仕様変更があり購入を見送ったため。 旅費については、当初予定していた国際心電学会における研究結果発表をとりやめたため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費については、上述したプログラムが子年度納入予定であるため、今年度実施する予定の研究計画と併せて使用する。 旅費については、データ収集旅費および平成27年度以降の国内外の研究結果発表旅費に充てていく。
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