研究課題/領域番号 |
26861869
|
研究機関 | 茨城キリスト教大学 |
研究代表者 |
金子 健太郎 茨城キリスト教大学, 看護学部, 助教 (40714358)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | Slow Breathing Exercise / 副交感神経活動リザーブ / 慢性腎臓病患者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は深くゆっくりとした呼吸活動を毎日繰り返して実施する方法「Slow Breathing Exercise:SBE」が副交感神経活動リザーブを高めるかを明らかにすることである。研究実施計画は、はじめに若年健常男性を対象とした基礎的研究として、SBEの効果を自律神経活動指標と循環動態(特に末梢循環指標)により評価する。さらに、それらの結果をもとにSBEが自律神経活動に変調をきたしている慢性疾患患者の副交感神経活動リザーブを高め、症状改善の一助となるか臨床効果の検討を行う。SBEの実施は通常4週間(約1か月間)とし、SBE前後における測定指標の比較を行うことで評価する。 平成27年度の研究実施状況として、平成26年度より検討を続けていた若年健常男性におけるSBEの効果について、対照群とくらべて実施群(平均実施率71.4%)では副交感神経活動指標であるHFが高まり、末梢皮膚血流量が増加傾向を示すことを確認した。すなわち、若年健常男性においては指示された約70%の実施率のSBEが副交感神経活動リザーブを高めるといえる。これらの結果はSBEの臨床効果を検討するうえで、非常に重要な結果である。この研究結果については関連国際学会(43rd International Congress on Electrocardiology, 2016)にて演題発表を行った。 また、前年度に決定した研究協力機関との連絡調整を行い、対象とする慢性疾患を慢性腎臓病とし、それに罹患している患者の安静時の生理学的指標を測定した。。研究対象者の選定および承諾を得る手続きは研究計画のとおりに実施した。さらに先行して数名においてSBE実施を依頼し、SBE実施前後で測定、評価を実施した。これらの結果をふまえて、もう一つの年次計画である「慢性疾患患者の副交感神経活動リザーブと病態との関連因子の探索」については現在検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度研究実施計画である「慢性疾患患者の副交感神経活動リザーブと病態との関連因子の探索」については現在検討中ではあるが、研究協力機関との連絡調整を十分に行い、数例のSBE実施介入を開始することができた。平成28年度もこれまでの調査・検討で得た様々な情報をもとに研究協力機関との連携を図ることで、年次計画遂行が可能であると考えられるため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画の推進に関して、交付申請時の研究計画に変更はない。対象とする慢性疾患を慢性腎臓病とし、平成28年度は以下の点を中心に研究を推進していく。 1. 慢性腎臓病患者の副交感神経活動リザーブと病態との関連因子の探索 上述したように、現在慢性腎臓病患者における副交感神経活動リザーブと病態との関連については検討中である。慢性腎臓病は腎機能と検査異常によってステージ分類されており、副交感神経活動リザーブと病態の進行度や治療状況などの関連について継続して検討する。 2. 慢性腎臓病患者への副交感神経活動リザーブを高める積極的看護介入方法の実証 1.の検討結果をもとに積極的看護介入方法が適応可能であると考えられる慢性腎臓病患者を対象にSBE介入を実施する。その際、若年健常男性を対象としたSBEの基礎的研究結果を参考にし、副交感神経活動リザーブの変化に対象者のSBE実施状況等がどのように関連しているか評価し、確実な実施方法について検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
慢性疾患患者を対象とした測定を実施するにあたり、研究協力施設との打ち合わせおよび測定環境調整において当初の計画よりもスムースに調整が済み、打ち合わせの回数を少なくすることができたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
測定のための研究協力施設への旅費としての使用が中心となる。さらに国内外の関連学会における研究結果発表への旅費に充てていく。
|