本研究は、水害で効果・効率的な看護を実践できるために、水害で活動した看護職が、活動をとおして認識している水害の看護の役割と、水害の看護の役割に影響を及ぼす要因を明らかにし、この2つの要因間の関係性を明らかにすることである。さらに、明らかになった水害の看護の役割を用いて、水害における看護活動のガイドラインを作成することを目的とした。 1段階目として、北部九州豪雨で看護活動を行った看護職を対象としたインタビュー調査をおこない、水害における看護の役割を明らかにした。2段階目として、1段階目で明らかになった水害における看護の役割と文献検討の結果から、質問紙を作成し、過去5年間に水害で活動した看護職に質問紙調査を行った。 研究協力への同意が得られた17設に合計106部の質問紙を郵送した。回収率は65.0%(69部)であった。調査協力者が活動した水害の種類は、集中豪雨が42.30%、台風が30.76%、洪水が26.92%であった。水害において活動した看護職が重要と認識した看護の役割は、急性期では8つの役割(トリアージ・応急処置・広域搬送・情報収集・遺体への対応・多職種との連携・安全管理・感染症対策)、慢性期では5つの役割(プライバシーの保護・日常生活支援・心のケア・家族ケア・感染症対策)、復旧・復興期では、3つの役割(心のケア・家族ケア・倫理的配慮)が導き出された。 また、急性期から慢性期に継続した役割は、感染症対策であり、慢性期から復旧・復興期に継続した役割として、心のケア・家族ケア・倫理的配慮であることが示唆された。 以上2段階で行った結果から得られた水害における看護の役割をもとに「水害における看護活動のガイドライン」を作成した。
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