研究課題/領域番号 |
26861880
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
中山 理寛 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00516776)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | アロマセラピー / 放射性ヨード / 内用療法 / 甲状腺癌 / アミラーゼ / ストレス |
研究実績の概要 |
甲状腺癌術後放射性ヨード内用療法において,治療時甲状腺ホルモン低下に起因する多彩な症状(食欲不振や嘔気、全身倦怠感,疼痛,味覚低下,抑うつ傾向,心機能低下によるバイタルサンの変動、浮腫出現等)を緩和する目的で,アロマセラピーの有用性について評価した. 甲状腺癌術後放射性ヨード内用療法目的で当科入院し,本研究に同意された患者をアロマセラピー群と対照群の2群に入院時に無作為に分け,各食前に芳香浴を行い,ストレス指標として用いられるアミラーゼ値測定や心理検査など施行し,約2週間の入院中ストレスを評価した.芳香浴は,ディフューザーを用いて消化促進作用と抗うつ作用を中心に考えた国産れもんとしょうがの精油にて実施した. 本年度施行した各群20名程度の患者に関してはアロマセラピー群と対照群において,アミラーゼの値はアロマセラピー群では著変なかったが,対照群では有意に増加した(P<0.05).また,心理検査に関してはアロマセラピー群で有意にストレス指標の低下を認めた(P<0.05).本結果より,アロマセラピーは入院中のストレスを緩和している可能性が示唆された.今後画像診断の向上に伴う早期発見により低年齢層でも増加していくであろう甲状腺腫瘍の患者が,放射線ヨード治療を行っていく上で、より積極的な治療を行うことは、治療の過程の患者環境の改善、患者管理に伴う医療スタッフの負担軽減、薬物使用の減少に伴う医療費の削減の観点からも有効かつ現代日本の医療に必要なことであると考えられる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に研究参加患者は集まっており,おおむね順調にデータを収集することができている.一部の収集データからはすでにアロマセラピー群における有用性も確認できており,順調に研究は進んでいるものと判断される
|
今後の研究の推進方策 |
今後も症例の蓄積と統計学的評価を行い,国内外の学会へ報告していく.また最終的には論文化することを目標とする.
|
次年度使用額が生じた理由 |
唾液アミラーゼ測定の専用チップの購入は在庫を確認しながらの購入であり,研究参加者の使用頻度に応じて次年度使用額が生じています.
|
次年度使用額の使用計画 |
アロマオイルやアミラーゼ測定チップ,国内外の学会参加・発表のための旅費,統計処理含めた核医学検査室の研究環境整備に使用する計画です.
|