研究課題/領域番号 |
26861885
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伊藤 美智子 岐阜大学, 医学部, 助教 (10612616)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | クリティカルケア看護 / 終末期ケア / 教育 |
研究実績の概要 |
クリティカルケア領域での終末期ケアは,短期間での死の受容への支援や看取りケアへの切り替えの難しさから困難であるとされている。しかし,現在までの文献検討から,看護師のターミナルケア態度が積極的であるほど,終末期ケアによって受けるストレスが少ないともされており,ターミナルケア態度と死生観,個人の属性,実務や学習の経験との関連も報告されている。そこで,平成26年度は現在行われている終末期ケアに関する教育について,国内外の文献検討を実施した。現在の死生観や終末期ケアに関する教育は,海外では学士課程のカリキュラムに組み込まれているのに対し,我が国の看護教育では2000年のカリキュラム改正より取り入れられている。卒後教育としては,日本では各学会が講演会や研修を開催しているが,クリティカルケア領域を対象とした終末期ケアに関する教育は,家族を対象としたものにとどまっている。院内教育などで行われた終末期ケアに関する教育としても,事例検討などの報告のみであり,教育体制を構築したという報告は見られなかった。 終末期ケアでは,その人らしい最期を考えることが重要であるが,本来救命を目的とする救急外来や集中治療室などのクリティカルケア看護領域において,それを考えることは困難である。そういった背景の中で,看護師がより良い終末期ケアを提供するためには,看護師自身の死生観の醸成が関与すると考えられることから,死生観教育が必要であると考えられる。しかし,現時点ではそういった教育体制は構築されていない現状がある。海外においては,すでに終末期ケアに関する教育としてプログラムが構築されており,クリティカルケア領域や老年といった細分化した領域についてもプログラムが構築されていることから,日本においてもそのようなプログラムが構築できるよう,現状と課題について研究を進めていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では,今年度中に看護師に対してインタビューを実施する予定としていたが,現時点では倫理審査を受審する段階にとどまっている。これは,およそ半年かけてのインタビュー調査となるため,育児休暇期間にかかることのないよう,研究再開後に調査を実施することとしたためである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画としては,平成28年度の研究再開とともに,看護師へのインタビュー調査を再開することとしている。当初の予定では,クリティカルケア領域の熟練看護師のみを対象としていたが,現状の課題などを明らかにするため,緩和ケア領域の熟練看護師も対象とし,現状と課題について明らかにしていく。また,現在のクリティカルケア領域での教育から,看護師にどのような変化が生じているのかについて明らかにすにるため,卒業時からの縦断研究についても平成28年度卒業生から調査を行う予定である。 倫理審査については,縦断研究については承認を得られているため,平成28年度卒業生の卒業認定が終了し次第募集を開始する。看護師へのインタビューについては,平成28年4月に研究を再開し次第,倫理審査を受審し,承認を得られ次第調査を開始する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来であれば,平成26年度より調査を実施するため,調査に伴う費用や謝金が発生する予定であったが,妊娠・出産に伴い,調査を平成28年度以降に延期したため,そのための研究費を使用していないため,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に調査を再開するため,調査対象者への謝礼や調査場所の確保等に使用する予定としている。また,結果をまとめる上で必要な機器やソフトウェアなどの購入にも利用する予定である。
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